高市早苗首相の愛車「スープラ」の現状はいかに!?

 奈良県奈良市にある「まほろばミュージアム」。ここは、いまから2か月ほど前の2025年10月に大きな注目を集めました。

なぜかというと、館内で展示する3代目「スープラ」に理由があります。このクルマ、2025年12月現在、内閣総理大臣を務める高市早苗衆議院議員の愛車だったからです。

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 高市氏が自民党の総裁に選出されたのは、2025年10月4日です。この直後から「まほろばミュージアム」に前出のスープラを見に来る人が急増したとのこと。なお、高市氏は2週間後の10月21日に第104代内閣総理大臣に選出されています。

 それから2か月経ち、まだ賑わっているのか、はたまた来館者は落ち着いたのか、改めて現地へ足を運んでみました。

 そもそも、「まほろばミュージアム」は2021年にオープンした奈良トヨタが運営する自動車博物館です。館内にはトヨタが過去に生産・販売していた名車が、いくつも保存・展示されています。

 たとえば、博物館の入口に展示してあるのは1977年式の「ランドクルーザー FJ56型」。ランクルシリーズでも人気の高いステーションワゴン系の初代モデルとなった車種ですが、日本国内で現存・展示されているのは珍しいです。

 また館内の中央には、「ヨタハチ」の愛称で人気を集めた「スポーツ800」もあります。このクルマは、「パブリカ」をベースにしたプラットフォームに、脱着式ルーフを備えた2シーター・キャビンを採用。

軽量ながら空力学的に優れたボディで、コンパクトなライトウェイトスポーツカーとして今でもファンの多い名車です。

 こうした名だたる傑作車が並ぶなか、それらに負けず劣らずのオーラを醸し出していたのが、くだんのスープラ。通称「高市スープラ」です。

自らハンドル握って

 スープラはトヨタが製造・販売する2ドアのスポーツカーです。「セリカ」の上級モデルとして、1978(昭和53)年に登場した「セリカXX(ダブルエックス)」を始祖に生まれました。「高市スープラ」は、1986(昭和61)年に登場した3代目モデル、「A70型 スープラ(70スープラ)」になります。

奈良の新名所!?「高市スープラ」今も混雑してる? 首相就任か...の画像はこちら >>

「まほろばミュージアム」の外観(鈴木伊玖馬撮影)

 低く長いノーズによる鋭いスタイル。ヘッドライトには1990年代に人気を博したリトラクタブル式を採用していました。パワートレインには、3リッターDOHCターボの7M-GTE型(230馬力)を頂点として、4種類の直列6気筒エンジンを設定。トランスミッションは5MTとATを用意。駆動方式はFRです。

 バブルという華やかな時代に生まれたこともあって、数多くある国産スポーツカーの中でも特に高い人気で、トヨタ屈指の名車となっています。

 このスープラに憧れた1人が高市早苗首相です。高市首相は奈良県から選出された衆議院議員で、1993年に初当選すると、2006年には内閣府特命担当大臣として初入閣を果たします。そして2025年10月には、日本初となる女性の内閣総理大臣に選出されました。

 国会議員として頂点を極めた彼女ですが、実は「とんがったクルマが好き!」と公言するクルマ好きでもあります。なかでもスープラは、働き始めてから初めて新車で購入したモデルで、時には終電後の東京~奈良間を自らハンドルを握って往復した、思い出の愛車だそうです。

首相就任から2か月 賑わいはどうなった?

 高市首相はスープラに約22年間も乗っていたとのことですが、2022年に奈良トヨタが創業80周年記念プロジェクト「STスープラ80レストアプロジェクト」を発表。地元の縁で、高市首相のスープラもフルレストアが行われることになりました。

奈良の新名所!?「高市スープラ」今も混雑してる? 首相就任から2か月―現地で確かめた
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博物館の入口に置かれた「ランドクルーザー FJ56型」(鈴木伊玖馬撮影)

 愛情を持って使われていたとはいえ、30年以上前のクルマだけにダッシュボードやパネルはボロボロ。ボディ内側にもサビが浮かぶほどで、徹底的なレストアが必要だったそうです。

 しかしその甲斐もあって、車体は新車のようにピカピカになっています。リトラクタブルヘッドライトもしっかり可動。エンジンも走行できる状態にまで修理されています。

 その復活ぶりに、レストア後のスープラを見た高市首相はとても感動していたと、まほろばミュージアムの関係者は話してくれました。

 彼女が総理大臣に就任すると、まほろばミュージアムに来場する人が大きく増えました。具体的には、就任前の2025年9月頃は月500人ほどだったのが、10月には5000人へと10倍になっています。

 11月に入ると多少ペースは低下したものの、それでも3000人以上が足を運んだとのこと。12月も来場する人の数は変わっておらず、全体的に高止まりの傾向にある模様です。なお、このスープラを見るために来る人もかなりいるそうで、県外在住者への認知も進んでいると関係者は話してくれました。

 筆者(鈴木伊玖馬:乗りもの好きライター)が訪れたのは12月中旬ですが、館内には数組の見学者がおり、2か月経っても変わらぬ人気、知名度の高さを伺い知ることができました。

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