新千歳だと「滑れる時間は短い」

 スキーやスノボが趣味の人にとって、「北海道ツアー」は、極上のパウダースノーを楽しめるだけでなく、一面の銀世界が織りなす絶景からアフタースキーのグルメまで、さまざまな魅力が詰まった、いわば憧れのバカンスです。

【穴場だ…!】これが「最強の空港」と周辺スキー場です!(写真)

 そんな北海道でのスキーやスノボには、現地まで飛行機での移動が不可欠となります。

多くの人がその具体的な行き先としてイメージするのは、札幌に最寄りの「新千歳空港」でしょう。

 ただ新千歳空港はレンタカーの借り出しに時間がかかり、またスキー場までの距離も近くはありません。そのため、たとえば羽田空港を朝イチに出ても、午後イチに滑り出せれば御の字です。夕方の便で羽田に戻るときも、スキー場をお昼前には出なければならず、旅程が2泊3日でも存分に滑れるのは中1日だけとなります。

 これに対し、北海道でスキー&スノボにより適した空港といえば「旭川空港」です。

「着陸から1時間半でゲレンデ」旭川空港の圧倒的アドバンテージ

 旭川空港は新千歳空港に比べコンパクトで、レンタカーの借り出しにも時間はかかりません。また空港から1時間の圏内に、都市型ゲレンデの「キャンモアスキービレッジ」「サンタプレゼントパーク」、大規模ゲレンデを持つ「カムイスキーリンクス」、リゾート感あふれる「富良野スキー場」、非圧雪のパウダースノーを楽しめる「大雪山旭岳ロープウェイ」など、バラエティに富んだスキー場が点在します。

 預け入れた手荷物をピックアップしたあと、到着ロビーの一角にある「アクティビティセンター旭川空港」の更衣室でスキーウェアに着替え、レンタカーを借りて出発すれば、空港到着から1時間半ほどでゲレンデに立つことも可能です。

 また帰りが19時台に出発する便であれば、15時近くまでスキーやスノボを楽しんでから空港に向かっても間に合います。そのため2泊3日の旅程なら、まる2日間分は十分に滑れますし、1泊2日でも、想像するほどの“強行軍”とはなりません。

 さらに旭川エリアのスキー場は、旭川市街からも遠くはなく、市街中心部に宿泊し、行き来できるところも強みです。旭川市街にはスキーヤー、スノーボーダーの受け入れに好意的な多くのビジネスホテルがあり、宿泊費もスキーリゾートでのステイに比べれば大幅にリーズナブルです。

また市街中心部には海鮮、ジンギスカンといったご当地グルメのお店が徒歩圏の範囲に多数あることも魅力です。

「ほぼ欠航しない」という強み

 もうひとつ、短い日程でのスキーやスノボを力強く後押しするのが、天気に左右されにくい旭川空港の就航率の高さです。

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旭川空港の除雪を担当する「WAX WINGS」。農閑期となる近隣の農家の人々をメンバーに構成されている(植村祐介撮影)

 人口30万人あまりの旭川市は、青森市と並び積雪量の多い大都市として知られています。当然、空港のある東神楽町も多くの降雪に見舞われますが、過密ではない発着スケジュールに加え、除雪隊「WAX WINGS」の活躍で、例年99%以上の就航率を誇っています。

 今年(2025年)も、12月14日(日)~15日(月)の悪天候で、北海道では新千歳空港をはじめ、帯広、女満別、釧路などの主要空港で多くの便が欠航となりました。しかし同日、旭川空港では多少の遅延はあったものの、欠航することなく全便が発着しています。

 もし1泊2日、2泊3日といった旅程で利用予定の便が欠航になってしまうと、スキーやスノボそのものを取りやめるという選択肢が濃厚となります。しかし旭川空港に限っては、そうした心配がほぼ不要なのです。

もちろん注意点も…でも「トータルでは断然有利」

 このようにスキーヤー、スノーボーダーにとってありがたい存在の旭川空港ですが、留意すべきポイントもあります。それは市街地周辺からレンタカーで空港に向かうときの所要時間です。

 旭川市街から旭川空港まで、混雑のない時間帯では30分程度です。

しかし交通量が多くなる夕方のラッシュ時にはクルマの流れが遅くなり、40分から50分近くかかることもあります。さらに天候状況により滑りやすいミラーバーンが発生するときは、市街地や交通量の多い主要道路では車間をとったノロノロ運転となることもあり、さらに時間がかかります。とくに空港から見て旭川市街の反対側にある道央道・旭川鷹栖ICや旭川北ICから空港に向かう場合に注意が必要です。

 また旭川空港周辺にはガソリンスタンドが少なく、レンタカー返却前に満タンにする場所が限られます。旭川を出発する日に市街地に立ち寄る場合は、現在地から空港まで、スマホの地図アプリで所要時間をたびたび確認するなど、乗り遅れ対策を怠らないようにしましょう。

 現在、新潟や長野など、東京からアクセスのいいスキー場はリフト券の値上がりが顕著で、またインバウンド人気も相まって宿泊費も高止まりしています。飛行機を使う北海道でのスキーやスノボは“費用がかかる”という印象がありますが、タイムセールなどで安い航空券を手配できれば、新潟や長野との差額はかなり小さくなっています。

 まだ北海道での滑りを味わったことのない方は、旭川空港からデビューを飾ってみてはいかがでしょうか。

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