東急グループが「グループの強み」を生かした新たな試みを開始。冷蔵ロッカーや学童保育所といった駅周辺施設でネットスーパーの商品を受け取れるもので、「生活動線」を持つ大手私鉄らしい取り組みといえるかもしれません。
東急グループが、「グループの強み」を生かした新たな試みを、東急田園都市線のたまプラーザ駅(横浜市青葉区)周辺で2016年12月8日(木)より試験的に開始しました。
スーパーマーケット「東急ストア」店頭の商品を、ホーム・コンビニエンスサービス「東急ベル」配送スタッフが自宅に届ける「東急ストアネットスーパー」。その受け取りを、たまプラーザ駅周辺の東急グループ各施設で行えるようにするものです。
商品を受け取れる場所のひとつ、東急グループのケーブルテレビ「iTSCOM スポット たまプラーザ テラス」(2016年12月20日、恵 知仁撮影)。東急電鉄 生活創造本部の鈴木寛人課長によると、宅配商品の受け取り方法が多様化するなか、ニーズに応えるため、今年2016年1月に東急東横線の綱島駅(横浜市港北区)に「東急ストアネットスーパー」受け取り用の冷蔵ロッカーを設置したところ、「いつも通る駅で受け取れる」「配達待ちがない」など好評だったことから今回、たまプラーザ駅周辺で受け取れるサービスを試験的に始めたとのこと。
たまプラーザ駅周辺では、綱島駅のような受け取り用の冷蔵ロッカーとあわせ、学童保育「キッズベースキャンプα たまプラーザ」など同駅周辺の東急グループ5施設で受け取りが可能。
ネットスーパーのロッカーは、あらかじめネットで注文したものを実店舗ですぐ受け取れる、というタイプのものもありますが、この「東急ストアネットスーパー」は駅やサービス提供施設で受け取れる、すなわち利用者の「生活動線」のなかで受け取れるのが大きな特徴です。
とても「大手私鉄らしい」事業?日本の大手私鉄は鉄道を軸に不動産や小売り、娯楽などさまざまな事業を展開。沿線住民の需要をグループ全体で創出し、受け止めるというビジネスモデルで発展してきました。東急の五島慶太氏(1882~1959)は、そうした経営を行った代表的人物のひとりです。
東急電鉄・東急ストアは今回の試験について「東急グループ各社が一体となり、さまざまな生活動線上での商品受け取りを可能に」するとしていますが、それができるのは、鉄道を軸にグループのサービス提供施設がさまざま存在する、すなわち「生活動線」をこれまで作ってきた大手私鉄だからこそで、今回の取り組みはその“強み”を生かしたものといえるかもしれません。
また鈴木課長によると、こうした生活動線上での受け取りサービス展開は、まとめて配送できること、配送できる分量が増えることから、効率という意味でも効果があるとのこと。たまプラーザ駅周辺におけるこの試験は、2017年春ごろまで実施される予定です。