とても便利な柳井港

 山口県柳井市の柳井港と、愛媛県松山市の三津浜港を結ぶ防予フェリー。「周防」と「伊予」を結ぶ航路であることから、その名を持ちます。

この航路の歴史は古く、フェリーとなったのは1965(昭和40)年のことで、当時は防予汽船による運航でした。防予汽船は、1968(昭和43)年に同航路へ水中翼船を投入し、柳井港~三津浜港(57.91km)を1時間で結んだこともありました。山口・愛媛両県が柑橘類の殺倍地域であることから「オレンジライン」としてアピールしましたが、次第に経営難となります。

【ノスタルジー感じちゃう…!】平成初期を体感できる豪華フェリーの船内を見る(写真)

 1988(昭和63)年に水中翼船は廃止、2010(平成22)年からは防予フェリーが運航を引き継いでいます。なお、柳井港~三津浜港航路は、屋代島を寄港する「周防大島 松山フェリー」も運航しており、両社の共同で1日11往復を運航しています。

 JR山陽本線の柳井港駅と、柳井港フェリーターミナルは徒歩4分。駅から港の建物が見える距離で、国内有数の利便性と感じます。防予フェリーには売店はなく、2時間35分の船旅となりますから、柳井港駅周辺のコンビニやお弁当屋さんでの買い物を推奨します。

 11月の日曜日に、筆者(安藤昌季:乗りものライター)は柳井港14時45分発の三津浜港行きに乗船しました。やってきたのは「おれんじじゅぴたー」で、同船は総トン数694t、13ノット(24km/h)、旅客定員200人、大型トラックまたは大型バス9台の搭載能力を持ちます。

 1992(平成4)年就役で、筆者が知る限りでは、ジャンボフェリーの「りつりん2」(1990年)に次ぐベテラン船です。よく手入れされていますが、趣深い雰囲気です。

船内に入ると、平成初期のバブル期を感じます。ホテルのラウンジのようなゆったりとしたソファが並び、照明も豪華です。船の前方は前向きの座席が並びますが、こちらも座席間隔が広く、新幹線グリーン車並みです。また、この時期の船の定番であるカーペット席もあり、大きなテレビで相撲中継が流れていました。

 2階はより豪華な雰囲気で、天井から床までの長いカーテンや、落ち着きのある調度品を備えています。見晴らしも良好で、乗客は思い思いに過ごしています。特徴的なのは甲板です。1階はベンチが置かれたフリースペース。2階にはなんとプールがあります。かつての「さんふらわあ」や、豪華なクルーズ客船には備わっていましたが、極めて珍しい設備といえます。相方といえる「おれんじぐれいす」には、プール設備の案内がないため、国内唯一かもしれません。

まるで気分はバブル期! 瀬戸内海2時間半の船旅を体験

 14時45分発の便には、37人が乗船していました。

船が到着した際の徒歩下船客は11人でしたから、車での降船客を考えても、すこし寂しい利用状況です。乗客たちはソファ席で寝転んだり、ラウンジ風のテーブルのある区画でノートパソコンを広げたりと、思い思いの過ごし方をしていました。

 売店などの付帯設備はありませんが、カップ麺や飲料の自動販売機は備わっています。景色は、周防大島・中島などの群島を縫って航海する印象で、瀬戸内海なので大型船ともすれ違い、変化に富んでいます。途中で暗くなってきたのでカーペット席に移動して、横になってのんびりしました。隣の区画では宴会している人たちがいて、地域に密着した航路であることを実感します。

 四国の三津浜港に到着したのは、17時20分。このターミナルはやや大きく、売店もありました。伊予鉄道の三津駅までは徒歩10~15分。ターミナルの利便性が高い航路であり、松山市駅から伊予鉄バスでもアクセスできます。

 バブル期にタイムスリップしたような、豪華フェリーでの2時間半。体験してみるのも楽しいと感じました。

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