民間初のティルトローターを目指す

 イタリアの航空宇宙企業であるレオナルドは2025年12月20日、次世代民間用ティルトローター「Next Generation Civil Tiltrotor – Technology Demonstrator(NGCTR-TD)」の初飛行を実施したと発表しました。

【動画】飛んだ! これが、民間向けの“オスプレイ”みたいな機体です

 本機の開発は、欧州連合(EU)のクリーン・アビエーション共同事業の枠組みのもとで行われており、将来の大型民間ティルトローターの開発を支える可能性のある主要技術を成熟させることを目的とした実証機です。

ティルトローターとは、垂直・短距離離着陸を可能とする航空機の方式のひとつで、軍用ではV-22「オスプレイ」がすでに運用されていますが、民間機ではまだ実用化されていません。

 将来世代の民間ティルトローターには、高速性や長距離飛行能力などが求められており、本機はそれらを満たす中核技術の成熟を目的として開発されています。NGCTR-TDの計画では、ヘリコプター特有の垂直離着陸(VTOL)の柔軟性と、固定翼ターボプロップ機に近い巡航性能を融合しつつ、環境負荷を大幅に低減することを目指しています。

 本機は、レオナルドが開発中のAW609をベースとしていますが、NGCTR-TDはAW609よりもさらに先の世代を見据えた民間ティルトローター向けの技術実証機となっています。公開された動画では、地面から浮上し、ホバリングする様子が確認できます。

 レオナルドによると、今回の飛行は機体の安定性や各システムが正常に作動するかを確認することが主な目的で、今後は飛行包絡線を段階的に拡大していくとしています。

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