線路は残っているものの電停の姿は…

 2025年8月3日、広島電鉄の「駅前大橋ルート」が開業し、広島駅も大幅にリニューアルしました。同時に広島駅の地上にあった電停は役目を終え、猿猴橋町電停を含む的場町までのルートは廃止されました。

かつての線路はどのようになったのでしょうか。

【激変】これが「激セマ」電停の跡です(写真)

 旧ルートの廃止からはや4か月、以前の広電広島駅電停はすっかり撤去工事が進み、11月末時点ではほぼ更地になっていました。ペデストリアンデッキからはその様子をよく見ることができますが、数か月前まで多数の広電が発着していたのが嘘のよう。この場所は将来的に「マイカーエリア」として駐車スペースが整備される計画で、さらに姿を変えていくことでしょう。

 かつての電停部分を出ると、道路上を走る併用軌道区間となっていましたが、こちらは架線こそ撤去されたものの線路が残っています。猿猴川を渡り、的場町の電停手前まで線路は続き、ここに鉄道が走っていたことを教えてくれます。

 ただ、人の流れもクルマの流れも新たな駅前通りがメインで、こちらに鉄道が来なくなったこと、いまだに冷めない駅前大橋ルート開業の盛り上がりもあり、旧ルートの跡地はややひっそりとした印象でした。途中の電停は猿猴橋町一つだけだったとはいえ、頻繁に電車が往来しているだけでも活気は違うものです。

 その猿猴橋町電停は、乗降ホームがとても狭いことでも有名でした。11月末現在、ホームも付帯する設備もすっかり撤去されて、線路以外には跡形もないという状況。元来の狭さも相まって、旧電停の場所を見てもここにホームがあったという実感が湧きません。

 ただし、広島駅前の交差点から荒神三差路の交差点へ至るこの区間は、軌道部分を車道に転用し、現在の車道部分を活用して歩道を拡幅することが計画されています。

 新たな歩道の活用について、地元住民からは線路のモニュメントや解説板の設置といったアイデアも提案されているとのこと。残存している線路は2026年度に撤去工事が行われる予定ですが、何かしらの形で「線路があった」という事実が伝えられていくことに期待が膨らみます。

新電停での「ちょっとマニアックな」楽しみ方

 さて、広島の新たなスポットとなった駅前大橋ルートの広島駅電停。改めて観察すると、ちょっとマニアックな視点からも楽しみ方を見つけることができます。

 その一つが、パンタグラフを上げ下げするシーンです。広島電鉄の連接車は、2基設置されているパンタグラフのうち、基本的に進行方向前側のパンタグラフを使用しています。広島駅では折り返しとなるため、編成の前後のパンタグラフを上げ下げする様子が見られるのです。

 ホーム上からも観察できますが、おすすめは駅ビルのテラス。「エキ×デンスクエア」とされていることの場所は、吹き抜け状になっている広電広島駅電停を高い位置から見ることができるのです。

 パンタグラフの動きは、まず稲荷町側のパンタグラフを上昇させ、その後広島駅側のものを降下させるという順番のようです。普段はなかなか見る機会がない、営業列車でのパンタグラフの上昇・降下。全体を眺めながら機械的な仕組みも観察できるというのは、博物館とはまた違った趣があります。

 電気を送る剛体架線も注目のポイントです。地下鉄などではよく見かける剛体架線ですが、吊られている様子を上から見る機会はなかなかありません。終端部の処理や分岐器付近の急曲線部分の配置など、一味違う景色を観察できます。

 広島駅の剛体架線は、枕木方向とレール方向に組み合わされた梁で吊られている状況。必要不可欠なものでありながら、特徴的な高架橋にあわせてデザイン性も配慮されているのかもしれません。

 役目を終えた旧ルートと熱気にあふれる駅前大橋ルート。そして旧ルートのエリアでは再開発の期待も高まり、広島駅界隈はまだまだ盛り上がりそうです。

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