クルマを運転していると、特に高速道路などで、上空にカメラやセンサーが設置された構造物を見かけることがあります。これを自動速度取締機である「オービス」だと思っている方もいるかもしれませんが、実は別の装置である可能性もあります。
道路上空には、オービスだけでなく「Nシステム」と呼ばれる装置も設置されています。これは、クルマのナンバー(Number)を読み取ることから、そう呼ばれています。正式名称は都道府県によって異なる場合もありますが、一般的には「自動車ナンバー自動読取装置」とされています。
Nシステムは、道路を通行する自動車のナンバープレートをカメラで撮影し、そのデータを中央のデータベースに集約する仕組みです。警察は、ここで得られたナンバー情報を盗難車両や手配車両のデータと照合し、捜査などに活用しています。
Nシステムが初めて設置されたのは1987年、東京都です。1973年に導入されたオービスよりは後発ですが、かなり以前から存在している装置といえます。
Nシステムの役割は、あくまで犯罪捜査のための情報収集であり、速度の計測は行っていません。何らかの犯罪に関わっていない限り、撮影されても特に問題はないとされています。
このNシステムと、オービスの一種である「LHシステム」は、見分けがつきにくい装置のひとつです。LHシステムは、路面に埋設されたループコイルで速度を測定し、道路上のカメラで撮影するタイプのオービスです。Nシステムを通過したあとに「オービスを通った」と勘違いして加速しすぎ、実際のオービスで取り締まりを受けた、という話も聞かれます。
Nシステムと固定式オービスを見分ける方法として、まず挙げられるのが警告板の有無です。オービスの場合、設置場所の手前に、少なくとも2か所以上「速度自動取締路線」などと書かれた警告板が、ほぼ確実に設置されています。
これらの警告板は、安全のためにドライバーへ制限速度を意識させる目的があるとも、プライバシー侵害を回避するためともいわれています。また、LHシステムのオービスでは、主装置の上部にパトランプが設置されており、このパトランプの有無も見分ける際のポイントとなります。
ただし、オービスによる取り締まりは、一般道では30km/h以上、高速道路では40km/h以上の速度超過が目安とされており、実際には警察官が直接行う、いわゆる「ネズミ捕り」によるスピード違反の検挙数の方が圧倒的に多くなっています。
一方、近年では速度超過が30km/h以下でも反応する「移動式オービス」を用いた取り締まりも増えています。この場合、事前の警告看板が設置されない場合が多くなっています。移動式オービスは、三脚などで支えられた持ち運び可能な小型装置で、警察によってはSNSなどで取り締まりを予告することもありますが、事前に設置の可能性を確認している人は少ないのが実情でしょう。この移動式の場合、幹線道路だけではなく生活道路や通学路での取締りを行っていることもあります。

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