山梨県甲府市で珍しい国道の改良事業が行われています。すぐそばを走るものの交わらなかった別の道とのあいだをつなげて、4車線化するというものですが、この国道と一体化される道は、かつての鉄道です。
【画像35枚】これが今も残る「旧路面電車のレール」です(写真で見る)
国道52号は甲府市街から西へ延び、その後は南に進路を変えて富士川沿いを静岡県清水まで結ぶ、中部横断道の並行道路となります。甲府市街では山梨県立美術館に通じていることから「美術館通り」とも呼ばれます。
このうち、市街から美術館までの途中で行われているのが4車線化事業「上石田改良」です。市街から荒川と貢川を渡り、南北方向の主要道である「アルプス通り」までは4車線化済みですが、そこからまっすぐ進むと細い“別の県道”に入り込んでしまい、美術館には行けない構造になっていました。美術館へ向かうには、橋から4車線化された国道の脇道となっている現道へ入るか、アルプス通りを右折してすぐ国道現道へ左折するクランク状の動きを強いられ、ここで渋滞が発生しています。
この“別の県道”を拡幅したうえで、国道52号の現道にまっすぐつなげる工事が進んでいます。2025年末にも、アルプス通り近隣の交差点に直進レーンの追加や左折レーンの新設が行われるなど、完成形へと近づいています。国道の現道も県道も、どちらもアルプス通り以西の区間は幅員が狭く曲がりくねり、歩道もないことから安全確保も課題になっていました。
2つの道が近くを走るにもかかわらず、交わらずに別々の方向へ延びていたのは、県道がもともと車道ではなく、市街を走っていた路面電車「山梨交通電車線」(甲府駅前-甲斐青柳、1962年の廃止後に道路へ転用)の軌道だったことも大きく関係しています。
2025年12月末に現地を訪れると、交通の流れは以前より整理された様子でした。2つの道は新設された交差点を通じて直接行き来できるようになったほか、運転していても進行方向が掴みやすくなった印象です。
反面、まだ4車線化の途上であるため、なかにはアルプス通りとの交差部直前で、車線が減少することに戸惑う車両も見られました。
ちなみに現在、県道のこの区間は通称「廃軌道」と呼ばれており、近隣には、同路線が山梨交通電車線の軌道だったことを示す石碑も設置されています。石碑には路面電車が“ボロ電”の愛称で親しまれたことなどが記されているほか、そばには復元された当時のレールや旧「貢川」駅を模した看板なども設置されています。

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