意外と少ない(?)トラックドライバーの「外食」

 テレビ番組で長距離トラックドライバーの密着ルポなどが放映されると、日本各地にある行きつけの食堂でドライバーがデカ盛り飯を食べているシーンが映ります。

【え…!】これが高速道路名物「3722kcalの"大人様ランチ”」です!(写真)

 放送を見た視聴者は、「なるほど。

トラックドライバーは体力を消耗するから、デカ盛りを食べてエネルギーをチャージしているのだな」と思いがちです。しかし元トラックドライバー・交通心理士で近畿大学・理工学部の島崎 敢准教授は、「必ずしもそうではないし、むしろ小食で済ますドライバーのほうが多いだろう」といいます。なぜでしょうか。

 島崎准教授は「トラックドライバーが『デカ盛り・コッテリ好き』というイメージを持たれるのは、ある意味自然なことではある」と前置きしながらも、そのイメージと実際の違いをこう解説してくれました。

「『車体の大きいトラックを運転し、体力も相応に使うのがドライバーの仕事』という印象から、トラックドライバーは『デカ盛り・コッテリ好き』と思われるのは当然だと思います。テレビで紹介されるトラックドライバーの食事でも、確かにそういうメニューが多いですよね。

 しかし実際のところは、私自身の経験でいうと、トラックドライバーは総じて急いでいるため、行く先々での外食の機会は思ったほど多くなく、弁当やコンビニで済ませることのほうが多かったです。

 ですから、トラックを停めてゆっくり食事ができるお店というのは、ドライバーにとって『ちょっとしたご馳走』です。だからこそ、メディアで紹介されるような『デカ盛り・コッテリ』の食事風景は、非日常の『ご褒美シーン』であることが多いように思います」(島崎准教授)

 さらにトラックドライバーが必ずしも「デカ盛り」を好むわけではない理由として、以下のような事情もあるようです。

「トラックドライバーが行く先で外食しても、食べた後はまたすぐに運転に戻ります。トラックは乗用車よりもずっと揺れますし、人が座っているのは車体の端。しかもタイヤが大きくバネ下重量も重いため、乗り心地は決して良いとはいえず、特にトレーラーは上下動が大きいです。

 そのため、食べ過ぎてしまうと、こういった『揺れ』で気分が悪くなるという人や、眠くなるから少なめにするという人もいます。こういった事情も、トラックドライバーが『デカ盛り・コッテリ』ばかりを好んで口にするわけではない、という理由の裏付けになるのではないでしょうか」(島崎准教授)

たまの「外食」はご馳走。お店を選ぶ基準は?

 それでも、たまの「ご馳走」である外食をする場面では、かなりこだわった店選びをすることがある、と島崎准教授は言います。

トラック運転手っていつもあんなに”デカ盛り”食べてるの? ←...の画像はこちら >>

地方のドライブインであっても、ゆっくり食事を摂れる時間は多くのトラックドライバーにはそうない(画像:写真AC)

「お店を選ぶ基準はいくつかあります。まず、そのお店にトラックを無理なく停められるスペースがあるかどうか。停められなければ選択肢に入りません。

 それから急ぐことが多いので提供が早く、すぐ食べられるメニューであること。あとは、一人でも入りやすい雰囲気があるかどうか。多少汚れた作業着でも気を使わずに入れるお店のほうが落ち着けるという人が多いのではないかと思います。

 またトラックドライバーは1日中1人で過ごすことが多いので、『お店の人とちょっと話ができると嬉しい』という人や、逆に『話すのが苦手だから、構わず提供してくれるお店が良い』という人もいます。この辺のお店を選ぶ基準は、トラックドライバーによって変わってくると思います」(島崎准教授)

 トラックドライバーが必ずしもデカ盛りばかりを食べているわけではないことがよく分かりましたが、それでもドライバーたちに多く共通する「食と健康」の悩みがあるそうです。

「トラックが停められる場所の関係から、ドライバーが食べられるものの選択肢は限られていますし、食事を摂れる時間が不規則なので、多くのドライバーは『自分たちは不健康なものばっかり食ってるな』という自覚があると思います。

 だからこそ、気遣って野菜を多めにしてくれたり、小鉢が選べたりと、栄養バランスに優れたお店はドライバーから支持されることは多いでしょう。『美味しいかどうか』より、そういう気遣いをしてくれることがまず嬉しいと思うドライバーが多いのではないでしょうか」(島崎准教授)

 意外と気づかなかったトラックドライバーと「食」の問題。最後に島崎准教授はこう結んでくれました。

「特に長距離トラックのドライバーは全国各地を走っているのに、トラックが停められる場所の関係から、どこに行っても『結局ラーメン屋さん』みたいなことになりがちです。

 もちろん、各地のラーメンも美味しいし嬉しいものですが、できれば、ラーメン屋さんでも『ご当地グルメ』もメニューに加えていただけると嬉しいと思うことはありますね。あくまでも個人の思いですが(笑)」(島崎准教授)

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