橋の構造美を空から楽しむ

 我が国の鉄道は数多(あまた)の橋梁(きょうりょう)によって線路が結ばれていますが、その形状は建設費用や設置場所の状況によって様々です。鉄道橋梁には特殊な構造をしたものも散見され、特徴的な鉄道橋梁を上空から観察しました。

橋梁の構造解説は専門的な文献に譲り、空から見た橋梁の構造美を楽しみます。

【鉄骨美!】国内のレアなトレッスル橋を空から眺める(空中写真)

 日本の鉄道では特殊かつ少数派の橋梁形式の一つが、トレッスル橋です。トレッスル(trestle)は英語で作業台の「架台」「うま」を意味します。「うま」のような形状の橋脚の天部に桁を載せる構造で、「トレッスル橋脚」と称します。

 桁は上路式プレートガーダーを用いることが一般的です。また、アメリカでは木橋のティンバートレッスル橋が多く架けられ、日本でも森林鉄道などでティンバートレッスルが用いられました。

 日本におけるトレッスル橋は、山陰本線の余部橋梁(1912年架橋、通称・余部鉄橋)が代表的な存在でした。赤い11基のトレッスル橋脚が日本海に面して並ぶ姿は壮観でしたが、一部を保存のうえ、2010年にコンクリート橋へ架け替えられています。では、いくつかのトレッスル橋を見ていきましょう。

 北海道は旧大夕張鉄道の廃線跡にある旭沢橋梁です。この廃橋梁は2014年に竣工したシューパロダムによって沈み、渇水時のみ出現します。シューパロダムが竣工するまでは旧国道の明石橋から観察できました。

旭沢橋梁は1928(昭和3)年に架橋。トレッスル橋脚にプレートガーダー(Iビームガーダー)を架ける構造で、桁の強度を増すためにトラスを逆さまにして組み合わせた珍しい構造です。

 東北地方は仙山線の第二広瀬川橋梁です。陸前白川~熊ヶ根間の広瀬川に架かる橋梁で、高低差約51mに及ぶ広瀬川の谷にトレッスル橋脚がそびえ立っています。橋長は134.4mあり、1931(昭和6)年に架橋されました。

 東京都は2か所あり、その1か所はJR青梅線の軍畑駅付近に架かる奥沢橋梁です。以前の「空から撮った鉄道」でも紹介した橋梁で、前身である私鉄の青梅鉄道時代に架橋されました。

 奥沢橋梁はトレッスル橋脚が2基で、全長は約105m、橋脚の高さは約24mです。先に紹介した第二広瀬川橋梁と比較すると小ぶりですが、都道が橋梁の下部を通っているために間近で仰ぎ見ることができます。

 もう1か所は意外にも都心部にあります。東急池上線の五反田駅です。JR山手線の内側を目指す計画のもと、同駅は高い位置に高架ホームが建設されました。

この高架の一部がトレッスル橋脚です。

 最後に紹介するのは、熊本県の立野橋梁です。JRと南阿蘇鉄道の立野駅至近にある立野橋梁は、白川の急峻な崖にへばりつくようにあり、白川に注ぐ立野川が造り出した高低差約34mの斜面の谷という複雑な地形に架かっています。1924(大正13)年に架橋され、九州内では唯一のトレッスル橋脚であり、日本の近代土木遺産に指定されています。

 橋梁は空から見る醍醐味もあります。今後は少々マニアックな橋梁も紹介していきたいと思います。

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