首都高速道路の山手トンネルを走っていると、圧迫感のある景色の中で、次々と現れる合流や分岐に緊張する瞬間があります。
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それもそのはず、全長18.2kmという日本一の長さを誇るこのトンネルには、大井JCTや西新宿JCTなどを含めて実に9か所もの分岐・合流ポイントが存在します。
その理由は、地下トンネルならではの掘り方にあります。地下鉄や道路のトンネルを掘るシールドマシンという機械は、同じ太さの円形を掘り進めるのが得意です。言ってみれば、どこを切っても同じ顔が出てくる「金太郎飴」を作るようなものです。
地上であれば、合流車線を付け足すために道路の幅を広げることは比較的容易です。しかし、地下深くにあるコンクリートの筒を「途中だけ広げる」というのは、技術的にもコスト的にも非常に難易度が高い工事になります。莫大な水圧や土圧と戦わなければならないからです。
それでも渋滞を解消するために合流を作る必要があります。そのため、一度掘ったトンネルを内側から切り開いたり、特殊な機械でそこだけ太く掘り広げたりして、合流スペースを無理やり捻出しているのです。
しかし、技術的にスペースを作れても、東京の地下には「土地がない」という別の大きな問題が立ちはだかります。そこで生まれたのが、ドライバーを悩ませる“右側合流”や、常識を覆す“右側通行”といった奇策でした。
土地がない! “右側合流”と“右側通行”の逆転の発想山手トンネルの北側エリア(大橋~熊野町)を走ると、違和感を覚える場所があります。
首都高速「西新宿ジャンクション」(画像:写真AC)
通常、合流や分岐は左側で行われますが、なぜ危険な右側なのでしょうか。これは、道路の両端(外側)にスペースを用意する余裕がなかった。すなわち、土地買収ができず、結果、地下空間の中央分離帯側(右側)のスペースを使うしかなかったという、苦肉の策といえるでしょう。
こうした「右側合流」のリスクを避けるために、新しくできた南側エリア(大橋~大井)では、さらに驚くべき対策がとられています。なんと、トンネル内の車線をあえて「右側通行」にしているのです。
これは対面通行という意味ではなく、並走する2本のトンネルがらせん状にねじれて左右の位置を入れ替えるというアクロバティックな構造です。
こうすることで、土地の制約があっても、走行車線と合流をドライバーが慣れ親しんだ「左側」に統一することに成功しました。
同じ山手トンネルでも、作られた時期によって「右合流の苦労」と「左合流への執念」が見て取れます。
土地がない東京の象徴ともいえるのが、大橋JCTです。わずかな土地で地下と地上の高低差70mを処理するために、まるでコロッセオのような“らせん階段”構造で道路を繋ぎました。
「ドライバー泣かせ」に見える複雑な合流や構造は、過密都市・東京で少しでも渋滞を減らすために、限られた地下空間をパズルのように組み合わせたエンジニアたちの努力の結晶といえるでしょう。

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