今では当たり前のスクーターのメットイン機能ですが、誕生したのは1985年のことです。当時は原付スクーター全盛期でヤマハ、ホンダ、スズキとも数多くのモデルを発売し、切磋琢磨し合っていました。
【売れなかった~…】これが日本初の「メットイン」原付です(画像)
1985年までの原付は、道路交通法上ではノーヘルで乗れるバイクでした。しかし、スクーターを始めとする原付ブームの中で交通事故が増加。これを受けて、1986年から原付でもヘルメット着用が義務付けられることになりました。
スクーターブームの先駆的メーカーでもあったヤマハは「原付でもヘルメットが必要になれば、ユーザーを限定してしまうだろう」と考え、法律を守りながら合理的な機能を備えたスクーターを発売しました。それが、ヘルメット着用義務が始まる前年、1985年発売のボクスンというモデルでした。
イメージキャラクターは元祖ぽっちゃりタレントとして、当時人気を博したウガンダ・トラが務めました。ウガンダ・トラの恰幅の良さと、ボクスンのヘルメット積載機能による恰幅とを被せた起用だったのかはさておき、当時のユーザーにとってはまだ見ぬ機能でした。そのカタログでは、ウガンダ・トラ自身が「メットインを指南する様子」が印刷されていました。
しかし、前例のないメットインの積載性を優先させたことで、ボクスンの全体フォルムはボテっとしたフォルムとなり、当時の他モデルの人気には及ばず、その画期的な機能を持ちながらも短命に終わりました。
レーサーモデルにもメットイン機能が!?それから2年後の1987年にはホンダが、自社の代表的スクーター「タクト・フルマーク」にメットイン機能を加えて発売します。もともとタクト・フルマークは、タクトシリーズの中でも小物入れなどの積載性に特化したモデルでした。
1987年、ホンダ初のメットイン機能を装備したスクーターとして登場したホンダのタクト・フルマーク(画像:ホンダ)
ちなみに「メットイン」という名称はホンダの商標登録で、翌1988年発売の新たなホンダのスクーター「Dio」では初代からメットイン機能を装備。1989年以降のタクトシリーズは全車種メットイン機能を装備するようになりました。
また前後しますが、1987年にはスズキもメットイン機能を持つスクーター「アドレス」を発売します。タクト・フルマークと人気を二分する格好となり、アドレスシリーズ自体は、現在まで続くロングセラーモデルにもなりました。
メットイン機能の浸透の中、1990年代前半には、なんとレーサータイプのバイクにもメットイン機能を持つモデルが登場します。
その1つが1990年のスズキ「アクロス」。250ccのレーサータイプのバイクで、通常ガソリンタンクがある部分にメットイン機能を持たせました。そして、もう1つが1991年発売のホンダ「NS-1」です。こちらも通常ガソリンタンクがある部分にメットイン機能が備わり、タンクはその下にありました。
これら、レーサータイプのメットインはさほどウケずに姿を消します。しかし以降は、スクーターには当たり前の機能となり、原付スクーターはもちろん、中型クラスの排気量のスクーターにも多く採用されるようになりました。

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