イギリス海軍のトップである第一海軍卿、サー・グウィン・ジェンキンス氏が2026年1月20日、クライド海軍基地を訪問しました。
【画像】酷使されすぎ…、これが長時間海にいて“白く”なった潜水艦です
この訪問は、1月15日に正式に開始された潜水艦整備回復計画(SMRP)の視察であると報じられています。
この計画では、潜水艦に関わる組織全体の中で、個別に進められてきた諸施策を一本化する方針が掲げられています。これまでイギリス海軍の潜水艦整備では、海軍司令部、SDA(潜水艦配備庁)、造船会社や整備企業などが個別に作業を進めており、縦割りで噛み合わなかったことが整備の遅延を招いていました。
現状では、日常的な整備の大半はファスレーンで行われ、デボンポート海軍基地は大規模整備や耐用年数延長作業を専門としています。また、工学的な計画立案はブリストルのSDAが主導し、全体の指揮はポーツマスの海軍司令部が担っていました。
しかし、この制度では個々の細かい情報が十分に共有されず、現在動かせる人員や設備を考慮した計画を立てることが困難で、結果として全体的に遅延が発生していました。SMRPは、従来の分業体制の下で生じていた意思決定の遅さや連携不足を改善するため、整備活動全体を横断的に統合・統制する強力な司令塔的枠組みを設け、全体最適による効率化を図る取り組みです。
イギリスの潜水艦、特に核戦力を担う潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)搭載の戦略型原潜であるヴァンガード級は、核抑止力の維持のため、常に1隻が周辺海域で任務についていなければなりません。
同級は4隻あり通常であれば問題なく任務中の艦と整備艦を分けられますが、2番艦の「ヴィクトリアス」が2022年に火災事故を起こし長期離脱中であり、整備の遅延の問題も影響し、本来の任務期間が60~70日であるところを、150日を超える長期間の遠洋パトロールを行うケースが増えています。
2023年11月には、計器の故障によりヴァンガード級が誤って最大深度の約500m付近まで潜航してしまうトラブルがあり、過酷な運用状況について報道では「重大な危険性をはらむ」と批判されました。ところが2025年3月には、ヴァンガード級の1隻が約204日間海中で任務について帰還するなど、長期運用の問題は改善されていません。
こうした問題を解決するため、まずクライド海軍基地にある既存のコンテナ型施設を活用し、新たな作業スペースが数週間以内に利用可能となる予定で、これにより重要な工学作業を前倒しで実施できます。

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