番線あたりの乗車人員はJR東日本トップ

 JR山手線と西武新宿線、東京メトロ東西線が交差する高田馬場駅(東京都新宿区)。周辺には早稲田大学のほか、エスニック料理店が集中する地域もあり、多くの人でにぎわっていますが、それに対して駅の規模が小さいため、駅構内はいつも混雑しています。

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 それもそのはず、山手線の1日平均乗車人員(2024年度)を見ると、高田馬場は山手線のみの駅ながら全30駅中9位の約18万人。上位にあるのは新宿や池袋、東京など大ターミナルばかりで、番線あたりの乗車人員では渋谷や池袋を抑えて1位の9万人を記録しています。約18万人の乗車を内回りと外回りのたった2線だけでさばいているのです。

 高田馬場では1973(昭和48)年に視覚障害者の男性がホームから転落し、電車にはねられて死亡する痛ましい事故が発生。これは駅に点字ブロックが設置される契機になりました。高田馬場を語るとき、混雑駅ならではの悲劇と教訓は見過ごすことはできません。

 2018(平成30)年に高田馬場駅周辺地区まちづくり協議会が取りまとめた「まちづくり構想案」も、駅舎について、「駅利用者数に対して十分なホーム幅が確保されておらず、通勤時間帯などにはホームに人があふれています」と指摘し、線路や駅舎の移設を伴うホーム拡幅等の改良工事を提案しています。

 ただ2020(令和2)年に鉄道事業者も加わって設立された「高田馬場駅周辺エリアまちづくり検討委員会」が取りまとめた「まちづくり方針」では、「駅施設の改良の検討」との表現にとどまり、後退した印象です。鉄道事業者としても、コロナ禍後の情勢をふまえると大規模な改良工事には慎重姿勢なのでしょう。

実は昔から大混雑!

 高田馬場駅は、山手線が電化された翌年の1910(明治43)年9月に開業しました。電車運転を前提とした小規模な旅客専用駅でしたが、大正期に入り東京の郊外化が進むと利用者が増え始めます。

 1927(昭和2)年に西武鉄道村山線(現・西武新宿線)が開業して乗換駅となり、1964(昭和39)年に地下鉄東西線が開業して都心と直結しました。

しかし東西線の開業前から高田馬場駅は激しい混雑で、朝ラッシュ時間帯は改札入場規制を実施するほどでした。

 国鉄は東西線建設にあわせて駅の大規模改良に着手します。東西線は東の早稲田口側、早稲田通りの地下を通過していますが、地下鉄工事とあわせて道路を拡幅するため、山手線・山手貨物線と交差部する架道橋桁を架け替える必要がありました。

 そこで、これを機に山手線外回りの線路を西に移設してホーム幅を6.5mから9mへ2.5m拡幅。改札口(現・早稲田口)の移設とホーム階段の増設、地下鉄連絡地下道の設置により、西武線・地下鉄線との乗り換え利便性を改善しました。

乗り換え客削減の構想も

 しかしその後はホーム中ほどにエスカレーター・エレベーターを設置した以外、駅構内に大きな変化はありません。2013(平成25)年にホームドアが設置され、転落事故の不安はなくなりましたが、抜本的な対応はできなかったのでしょうか。

 実は山手線ホームの拡幅ではありませんが、混雑を劇的に解消できる計画がかつてありました。それが「埼京線高田馬場駅」構想です。1970年代末の国鉄部内資料によれば、山手貨物線内回りを用地いっぱいに移動させ、線間を広げて幅最大7mのホームを新設し、連絡階段を増設、拡幅する構想でした。

 ところが1980年代に入って埼京線の計画が具体化すると、高田馬場は旅客流動面から新宿、渋谷と比較して利用者が少なく、効果が少ないとして設置は見送られました。要因の一つは工事の難易度と費用でしょう。

埼京線池袋以南の停車駅は新宿・渋谷・恵比寿・大崎ですが、いずれも貨物駅や貨物列車用側線跡地を転用したものです。

 一方、高田馬場は旅客専用駅であり、東西を繁華街に挟まれています。また、神田川と駅戸山口の標高差は約15m、駅を中心に東西も3~4mの高低差がある緩やかなすり鉢状の地形です。そのため早稲田口側は陸橋、戸山口側は盛土・築堤という複雑な構造となっています。費用対効果を考えると困難なのは確かです。

 もう一つの混雑緩和策は、乗り換え利用者の削減です。都市交通年報によれば駅利用者の約3割が山手線と西武新宿線の乗り換え客。西武新宿駅は他路線の新宿駅と離れているため、乗り換え客の多くは高田馬場を利用します。

 西武は近年、新宿線の沿線価値向上に取り組んでおり、後藤高志会長は2024年度決算説明会で東西線との相互直通運転の実現に向けて取り組む意向を表明しています。

 もっともこれは「決意表明」であり、具体的な動きがあるわけではないようですが、仮に東西線落合駅付近から乗り入れた場合、山手線のみならず東西線ホームの混雑も解消するでしょう。

 高田馬場に変化は訪れるのか、再開発構想の行方とともに注目していきましょう。

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