業界関係者を見ているなか…

 2024年に中国国外に初めて姿を表した、中国製の旅客機「C919」。現状、欧米製がマジョリティを占めていた旅客機市場において、中国が野望を覗かせた形です。

あれから2年、C919は中国以外で、正直ほとんど売れていません。そのようななか2026年2月1日、再度同型機が海外に出現しています。

【写真】えっ…これが「中国製旅客機」驚愕の全貌です

 2月3日から始まるシンガポール航空ショーに先立って、1日、C919がシンガポールの空を飛びました。国外の航空ショーにこの機が現れたのは、3度目です。飛んだのは登録記号「B-001F」で2024年の初めての“海外デビュー”をしたのと同じ機体です。機体は胴体後部をブルーと薄いグリーンの、製造元であるCOMAC(中国商用飛機有限公司)のハウスカラーに塗られており、中国国内のショーでも展示飛行を行う、いわば展示を前提にした機体です。

 1日は3日から始まる航空ショーの事前展示飛行があり、これは実際のショーで飛ぶ機体による「予行演習」といった位置づけでした。とはいえ、ショーの関係者は多数、“前乗り”している状態です。そのため、エアバスA350-1000やF-35A戦闘機のように本番さながらに、性能を誇示しながら飛ぶ機体がほとんどでした。

 ところが、C919の飛行は筆者が見た限りでは“そっけない”と感じるものだったのです。会場右手から現れて1度上空を通過し、機体を大きく傾け、お腹の機種名を見せた後はそのまま去ってしまいました。同じ中国から来た、空軍の曲技チーム「八一飛行表演隊」などはほかの展示飛行と同じように約20分間、6機編隊でスモークを引きながら演技を披露したのと比べると、対象的に感じました。

 さらに、今回のシンガポール航空ショーにおいて、C919の見せ方は、前回の見せ方と、現状のところ異なっています。

飛び方以外も「初回」とは違う…?

 前回のシンガポール航空ショーでは開催直前、中国メディアでは、C919と一緒に展示された、COMACが製造するC919より一回り小型の旅客機「C909(旧称ARJ21)」とともに、上海浦東空港を発ったと報じられるなど、情報発信面において盛り上げが試みられていました。

 しかし、今回は前回ほどの情報はなく、落ち着いた感がありました。2025年11月のドバイ航空ショーは「中東デビュー」として関心を呼んだものの、2度目の参加となった今回のシンガポールでは、トピック性は前回やドバイほど高くありません。

 販売面でも、2024年の海外デビュー後C919は高地発着型や長胴型を発表。バリエーション化に努めたものの、中国以外で採用した航空会社が少なく、受注数は1200機を突破したとされている中、2025年の納入数は当初の目標を大幅に下回ったとされています。

 これは、2025年に起きたトランプ関税の影響で一時、エンジン部品の納入が一時止まったことなどが背景と筆者は推測しており、中国独自の旅客機を今後セールスする場合、部品の国産化比率の向上も課題として浮き彫りになりました。いかに中国が経済大国に成長したとはいえ、旅客機販売はそう簡単に進まない現状が浮き彫りになっています。

 中国は、今回のシンガポール航空ショーの“本番”において、C919の海外への売り込みに対し、どんな態度で臨むのでしょうか。

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