大ヒットモデルのVツインマグナを50ccにスケールダウン

 1986(昭和61)年、原付にして本格アメリカンモデルとして発売されたのがホンダ・ジャズです。ややもすれば乗り手を限定しそうに感じるモデルでありながら15年ものロングセラーに至りました。

ジャズが相応の支持を得て継続生産される中、さらにホンダはもう1台の「原付アメリカン」を発売します。

【だんだん渋くカッコよく】マグナ50の12年の軌跡を写真でイッキ見(画像)

 それが、本格アメリカンにしてクルーザータイプだった、1995(平成7)年リリースのマグナ50です。

 ホンダは、1980年代初頭からアメリカン・クルーザーとしてマグナを開発。主に高排気量のモデルで、北米・カナダ・ヨーロッパ・オーストラリアなどで好評を得ました。また、日本国内では1993(平成5)年に発売した250ccモデルであるVツインマグナが、「中型免許ユーザー」にとって手が出しやすいモデルとしてヒット。同排気量の中では、売り上げナンバーワンを記録するほどの支持を得ました。

 このVツインマグナのヒットと、冒頭で触れた原付アメリカンであるジャズのヒットの後押しにより、ホンダではVツインマグナをスケールダウンしたマグナ50を発売します。

 エンジンこそカブ系のものなのでV型ではないものの、見た目もロゴもVツインマグナそっくり。ゆったりとしたライディング・ポジション、細部パーツの高級感、さらにセルフスターター、フロントのディスクブレーキなどと相まって、ジャズともまた違う強い存在感を原付市場に放ちました。

 ちなみに、正式なモデル名は「マグナ50(フィフティ)」。これを「マグナごじゅう」と呼ばせないところにもホンダの強いこだわりを感じます。

 ややトッポい、遊び心たっぷりな印象のジャズに対し、大人っぽいアメリカン・クルーザーだったマグナもまた相応のヒットに恵まれ、発売から4年後の1999(平成11)年にはマイナーチェンジを果たします。

ロングツーリングにおける性能を高めるために、前後輪とも、パンクの発生を減少させるタフアップチューブを採用。カラーリングには、光沢あるブーンシルバーメタリックと、あえての艶消しであるマットビュレットシルバーの2色を設定し、さらに大人っぽく渋いモデルへとさらに一歩成長しました。

ロング&ローの優雅なライディング

 以降も、2001(平成13)年、2003(平成15)年、2004(平成16)年、2007(平成19)年とカラーの変更がありましたが、基本性能は1999年モデルのまま。元々の完成度が高かったことから、8年あまり特にブラッシュアップしなくても良かったのだろうと推測します。

「ごじゅう」と呼ぶな! 本格アメリカンクルーザーを“原付”で...の画像はこちら >>

Vツインマグナを忠実にスケールダウンさせて発売されたマグナ50(画像:ホンダ)。

 2007年の排出ガス規制に適合できず生産終了に至りますが、マグナ50が12年も生産され続けたことを思うと、やはり当時のユーザーから強い支持を受けたモデルだったことがうかがえます。

 マグナ50に搭載されたカブエンジンについて、改めて完成度の高さを説明する必要はないでしょう。一方で、マグナ50の楽しさは、やはりそのトルクフルな乗り味と、ゆったりとした幅広ハンドルや幅広シートによるロング&ローの優雅なライディング・ポジションにありました。そして、「マグナ50に乗っている」という「所有感」も別格で、この点はもしかするとジャズ以上の魅力があったように思います。

 単なる足としてではなく、あるいはジャズのような遊び感でもなく、50ccでありながらも「大人っぽい」印象を持ったマグナ50。1990年代にホンダが発売したミニバイクの中では、実はホンダらしさが最も詰まった1台だと思っています。

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