LCCなのになぜ深夜早朝じゃない? ジェットスター新路線の“したたかな”計算

 ジェットスター・ジャパンが2025年12月18日、新たに「成田~高雄(台湾)」線へ就航を開始しました。

【お、いい時間かも!】これが「ジェットスターの高雄線」運航ダイヤです

 LCC(格安航空会社)というと深夜早朝の「超閑散ダイヤ」をイメージしがちですが、この新路線の成田発は午前9時25分。

なぜLCCなのに深夜早朝ではないのでしょうか。

 そもそも、LCCのビジネスモデルの根幹は「機材稼働率の最大化」にあります。高価な航空機を可能な限り長く飛行させ、地上での折り返し時間(TAT:ターンアラウンドタイム)を一般的に30分程度まで短縮して収益を上げます。

 深夜早朝便は、この機材稼働率を最大化するため、夜間の非稼働時間を活用する手段として設定されることが多いのです。

 しかし今回は少し異なる状況が見て取れます。

 かつて2019年4月~2022年3月には、午前6時~8時59分の出発便などを対象に着陸料を実質無料とする特例(朝発ボーナスなど)があり、この時間帯を選ぶのが定石でした。

 しかし、2024年度からの現行プログラムは、着陸料そのものの割引ではなく、運航実績に応じて支払われるインセンティブ(奨励金)制度が中心です。新規路線であれば、午前9時~10時59分の時間帯でも要件を満たせば給付の対象となり得ます。

 つまり午前9時25分発という選択は、現行のインセンティブ獲得を視野に入れつつ、深夜・早朝勤務による人件費増を回避するという、極めて合理的な戦略と言えるでしょう。

 最大の要因は地上スタッフの人件費です。午前9時前の出発便を間に合わせるには、深夜割増賃金(最低25%増)が発生する時間帯(22時~翌5時)に準備を始める必要がありますが、9時台発ならその多くを回避できるのです。

「儲かる」は本当? 深夜早朝便の損得勘定

 一般にLCCの深夜早朝便が儲かるかどうかは、空港からの「実入り(インセンティブ)」と、地上業務の「コスト(人件費)」の綱引きで決まります。

LCCの深夜・早朝便て儲かるの?「空港の割引 vs 地上費割...の画像はこちら >>

LCCは儲かっているのか?(画像:写真AC)

 成田空港の場合、原則として夜23時(A滑走路は24時)から翌朝6時までは離着陸が制限されているため、真夜中の運航はできません。

 しかし、24時間運航可能な空港の事例を含めて一般論として考えると、深夜帯(22時~翌5時)にかかる業務には規定の割増賃金が発生するため、人件費が嵩みやすくなります。

 空港のインセンティブがこのコスト増を上回れば利益は出ますが、そうでない場合は利益率が圧迫される可能性があります。

 LCCがあえて日中便を設定するのは、機材稼働率の追求だけでなく、こうした地上費用の抑制や旅客の利便性までを含めたトータルな損益計算の結果なのです。ジェットスターの「午前9時25分発」は、その緻密な計算を象徴する事例と言えるでしょう。

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