「低空経済」の覇権を狙う中国の野心

 中国が独自開発したハイブリッド動力の無人貨物機「YH-1000S」が初飛行に成功したと2026年2月3日(火)、開発元および中国政府が発表しました。

【いろいろ違う!】ハイブリット駆動の「YH-1000S」と原型機を見比べ(写真)

 開発元の中国航天科技集団によると、YH-1000Sには自動車メーカーと共同開発した高性能なハイブリッド動力システムを搭載しているとのこと。

この機体は、既存のYH-1000(2025年5月に初飛行)と比べて、離着陸時の滑走距離の短縮、積載量の増加、飛行距離の延伸が図られているといいます。

 このたび初飛行に成功した新型機は、従来の電動無人機が抱えていた「航続距離の短さ」という課題を、ハイブリッド動力システムの採用により克服したそう。ガソリンエンジンなどの内燃機関で発電し、モーターを駆動させるシステムにより、完全電動の無人機と比べ、滞空時間の大幅な延伸を実現しています。

 詳細なスペックは公表されていませんが、ベースとなったYH-1000が最大飛行距離1500km、最大運用高度8000m、最大積載量1200kgという性能なので、改良型のYH-1000Sはこれを上回っていると推察されます。

 これにより、都市間をまたぐ広域な物流網や、これまでアクセスが困難だった山間部・島しょ部への物資輸送が可能になるとしています。

 なお、YH-1000シリーズには最新の自律飛行制御システムが搭載されており、離着陸から飛行ルートの選定まで自動で行う能力が備わっています。中国は今後、複数の無人機を同時に運用する「スウォーム(群れ)飛行」の試験も進める計画で、運用コストのさらなる削減を目指します。

 中国政府は現在、高度1000m以下の空域を活用した経済活動「低空経済」を国家的な戦略産業と位置づけています。今回の無人貨物機は、民間物流の低コスト化だけでなく、災害時の緊急物資輸送や、将来的には軍事転用による前線への補給任務など、軍民両面での活用(軍民融合)が考えられるでしょう。

 今回の初飛行成功は、中国が無人航空機の分野において、単なる小型ドローンの製造拠点から、大型かつ複雑な動力源を持つ実用機の開発へとステージを移したことを象徴する出来事といえます。

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