「東京入管」の職員も取り締まり現場に

 東京都中野区を東西に走る都道4号、通称「青梅街道」。新宿から山梨方面へ延び、特に中野区内は道幅以上に車両も歩行者も多い幹線道路です。

この幹線道路のランチタイムに「ペダル付バイク」、いわゆる「モペット」の取締り啓発が行われました。

【警察官もボーぜん…】「署まで」と同行を求められた外国人が取った「意外な行動」(写真)

 取締り啓発には、警視庁交通部、新宿署、中野署、野方署から約50人、そのほか国土交通省、東京都などからも約50人の関係者が集まりました。取締り現場としては、かなり大がかりです。

 目新しかったのは、そこに東京出入国在留管理局の職員が参加していたことです。2026年2月9日の取締りでは、無免許運転2件を含む3件の摘発が行われました。

 東京メトロ「中野坂上駅」に近い取締り現場では、運転車両がバイクではないか、と停止を命じられた運転者が、意外な行動に出ました。警察官が立ち会う中で礼拝を始めたのです。
 
 時間帯から、イスラム教の正午過ぎの礼拝と思われます。祈りの儀式が終了すると任意同行を求められ、ペダル付バイクであることを指摘された車両も、警察署に運ばれました。

 摘発を受けても、免許を所持していれば大丈夫と思われがちですが、ペダル付バイクは、その出力によって必要な運転免許が違います。フードデリバリーで使う車両は、より手軽に運ぶためにアシスト自転車のパワーが改造されている場合があり、この点が追及されることがあります。改造車両でも運転は可能ですが、市区町村への届出がないままアシスト自転車として運転すると、原付免許と自動二輪免許のどちらが必要なのかがわからないので、警察署で事情を聴かれることになるのです。

 原付免許を持っていたとしても、届出をすませて課税標識(ナンバープレート)を付けていない場合は、所持免許と車両性能があっているかが問題になります。ここで必要な免許証を持っていたとしても、歩道走行で摘発された場合は、バイクとして道路交通法違反に問われます。この日の検挙の1件は、歩道走行によるものでした。

 日本人が運転するアシスト自転車でも歩道走行がありました。警察官が自転車を一度とめて注意を促そうとすると、「今、仕事中なんだよ、急いでるんだよ」、怒りを隠しませんでした。停止を命じた歩道は、自転車で走ることができません。道路交通法の理解は、国籍を問わず、充分とは言えないようです。

もはや「ペダル付」は“誤解”の理由にならない

 別の場所では、車両のペダルを指さす運転者に、警察官が交通ルールを諭していました。

「すべて“バイク”です!」 ペダル付バイク“100人取り締ま...の画像はこちら >>

警視庁交通総務課・権田洋平管理官(中島みなみ撮影)

「ペダルがある、というだけでは乗れないんだよ。バイクだったら、運転免許証とって、ナンバープレートの交付も受けて、自賠責も加入して、ヘルメットもかぶらなきゃいけない」

 エンジンバイクで、こうした違法行為はまず行われません。しかし、ペダル付バイクの取締り現場では、もう何度もこうしたやり取りが続いてきました。運転者が次に話すことは、「バイクであることに気が付かなかった」「自転車モードで走っていた」という趣旨の説明です。

 警察官はペダルを支えるフレーム部分「中軸」に配線があることを確認しています。クランクの回転速度を検知するペダル回転センサーのようです。別の警察官は、ハンドル周りにあるスロットル(加速スイッチ)や、アシスト力の可変端末を、ハンドルカバーを外して確認します。

 ペダル回転センサーはアシスト自転車にも付いていますが、ペダル付バイクは速度24km/h以下のアシスト規制や、人力を使わずに走行することができる自転車とバイクの区分を、簡単な操作だけで変えることができます。こうした車両では、走行時のモード切替の状態に関わらず、必要な運転免許を所持し、保安部品を装備して基準を満たした車両を運転する必要があります。

 今回の取締り啓発では、無免許運転2件を含む、3件が摘発されました。

 警視庁交通総務課の権田洋平管理官は、法規制の網を抜けようとする行為に厳しく注意を促します。

「ペダルが付いていても、電動アシスト自転車の基準に合致しないものはバイクです。スマホでアシスト比率を変えられるもの、スロットルを後付けしたもの、(速度6km/h以下の)ウォークモードでも、乗車した状態で走行できるものは、すべてバイクです」

 本来、ペダル付バイクは違法な乗り物ではありません。ナンバープレート取り付けステーがついた車両もあります。運転者の国籍に関わらず、無免許で乗ろうとして、それゆえに届出もせず、自賠責保険にも加入できない状態で乗ってしまう――という悪循環に陥ることが多いようです。しかし、そのペナルティは、けして軽くはありません。

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