南海電鉄は2026年2月16日、高野線の新観光列車「GRAN 天空」の外観を、4月の運行開始に先立ち、大阪府河内長野市の千代田工場にて報道陣へ公開しました。
【ベテラン通勤車が大化け!?】これが「改造前の車両」と「GRAN 天空」です!(写真34枚)
GRAN 天空は、観光列車「天空」の後継です。
まず、運行区間は難波から極楽橋までに拡大。天空の乗車時間は30分ほどでしたが、一気に3倍の約1時間30分となります。発着駅となる難波駅は1番線をGRAN 天空の専用ホームに改造するほど力を入れています。
車両は2200系4両編成を改造し、1号車はリクライニング座席の「リラックスシート」、2号車は車窓をより楽しめる「ワイドビューシート」、4号車にはソファー席の「グランシート」を配置。3号車は、軽食やお土産を購入できる「ロビーラウンジ」です。アルコールを含むドリンクも提供されます。
そして“食事”を提供する列車となるのも大きなポイントです。ソファー席の4号車では、南海沿線のレストラン「Genji」(大阪市西成区)の元川 篤シェフが監修し、沿線の食材をふんだんに使用した創作料理を3種類、モーニング・ランチ・アフタヌーンティーと時間帯に応じて提供します。
1・2号車は難波~極楽橋間を料金1700円、運賃込みで3130円と気軽な料金設定です。4号車で食事とドリンクを付けた場合は、1万3430円~となります。
南海電鉄の運輸車両部、営業担当の森 椎菜主任は、「食事を提供する列車は久々で、大きなチャレンジになった」と話します。
17年にわたり運行した従来の天空は、大手私鉄の観光列車としては先駆け的な存在です。「こうや花鉄道」の愛称を持つ橋本~極楽橋間の活性化を目的に登場しましたが、わざわざ和歌山県の橋本まで行って乗り換えなければなりません。
はめ殺した乗降扉(乗りものニュース編集部撮影)
「難波に行かないことで、関西圏以外のお客様には乗車のハードルが高く、また予約も電話のみのためインバウンドのお客様にも難しい側面がありました」と森さん。そこで、難波直通の観光列車プロジェクトが2022年から立ち上がりました。
1・2号車は、従来の天空にもあった窓側を向いたシートなども引き継いだ座席車として輸送力をアップさせ、さらに4号車のソファー席でのみ食事を提供するスタイルで、大手私鉄にも増えている“レストラン列車”の要素も取り込んでいます。運輸車両部の才津慎司課長補佐によると、従来の天空でも「団体のお客様を中心に、車内で持ち込みの食事をとる姿があった」といいます。
一方、車両は新造ではなく、1990年に登場した2000系電車の改造です。これには橋本~極楽橋の山岳区間が全長17mの短い車両でしか運行できないことが影響しています。
「17m車両は特殊なので、新造はどうしても費用がかさみます。ちょうど、2000系が機器更新の時期を迎えていたので、これを改造することになりました」(計画担当 久保薗隆祥課長補佐)
改造に際しては「通勤車っぽさをいかに無くすか」に苦心したとのこと。その一つが前照灯の変更で、2000系は前面の“腰”の部分に角目ライトがついていますが、これを上部に移設し、なおかつ丸目ライトにしています。
また、車体側面に2つずつの乗降扉(2扉車)は、4号車については全て「はめ殺し」にして、1~3号車は1つずつにしています。はめ殺した扉部分は片開き扉を溶接で埋めたようにも見えますが、これは両開き扉を取り外し、窓付きの外装板をはめ込んでいます。
このほか、走行系の機器については8300系や1000系更新車をベースとする最新のものに変更し、静音かつ省エネ性能を向上させているといいます。床下機器の他の車両との違いは、トイレを新設したことによるタンク類の追加などだそうです。
他の2000系についても更新時期を迎えつつありますが、その更新計画については現時点では未定。GRAN 天空の増備については運行開始後の「様子を見ながら……」とのことでした。
GRAN 天空は4月26日に運行を開始します。これに先立ち天空は3月20日に定期運用を終了。今後は臨時用となり、橋本~極楽橋の区間の縛りもなくなるとのことで、他区間に顔を出す可能性もあります。

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