アメリカ司法省は2026年2月25日、元アメリカ空軍将校でパイロットのジェラルド・エディ・ブラウン・ジュニア氏(65歳)が、中国人民解放空軍パイロットに無許可で防衛訓練を提供したとして、武器輸出管理法(AECA)違反の容疑で告発されたと発表しました。
初公判は2026年2月26日に、インディアナ州南部地区の裁判所で行われました。
ブラウン被告は、F-35「ライトニングII」の教官のほか、F-4「ファントムII」、F-15「イーグル」、F-16「ファイティングファルコン」、A-10「サンダーボルトII」などの実機およびシミュレーター教官を務めた経歴を持ちます。アメリカ空軍で24年以上勤務し少佐として退役した後は、商業パイロットや契約教官として、アメリカの防衛関連企業で軍事パイロットの訓練業務に従事していました。
告訴状によれば、2023年8月頃からブラウン被告は中国空軍パイロットへの訓練契約を取り決め、同年12月から中国に渡航して約1年間にわたり訓練を行ったとされています。
FBI対諜報・スパイ活動部門のロマン・ロジャフスキー副長官は、「ブラウンは自国を裏切り、かつて守ると誓った者に対抗するため中国のパイロットを訓練した疑いがある」と指摘しています。また、司法省コロンビア特別区のジャンニン・フェリス・ピロ検事も、「軍で培った専門知識を米国以外に提供することは国家安全保障上の重大な脅威だ」と述べました。
今回の事件は、2017年に元米海兵隊パイロットのダニエル・エドマンド・ダガンが同様の容疑で告発された事件と類似しています。ダガン事件では、2010年から2012年の間に、中国人パイロットを南アフリカの操縦士育成学校で訓練したことが明らかになっています。
中国人民解放軍ではここ数年、航空戦力の拡充を進めている関係から、北大西洋条約機構(NATO)加盟国などの、いわゆる「西側諸国」のパイロットに積極的な勧誘をかけており、アメリカ人パイロットのほか、2023年にはドイツ軍の元パイロットが中国で教官を務めたとの報道もあります。
アメリカ空軍によると、勧誘方法の中には、ごく一般的な求人サイトでも募集が紹介されるケースがあるそうで「給料や勤務内容が“おいしすぎる”案件や、契約の最終的な顧客情報が不明な募集は要注意」と注意を呼びかけています。
なお、アメリカ空軍では、退役後などに中国人民解放軍に関連する民間軍事会社に関わる場合、刑事罰の対象になると厳しく警告しています。
通常、AECA違反で個人が処罰される場合は、最大10年の懲役または最大50万ドルの罰金、あるいはその両方が科せられます。しかし、今回のように「共謀」や「外国の軍隊への支援」が加わる場合、10年以上の懲役になる可能性も考えられます。

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