ホンダの関連会社である本田技術研究所は2026年2月27日、和光研究所(埼玉県和光市)の施設見学会を報道陣向けに開きました。同社は今回、金属部品を出力できる3Dプリンターの設備などを公開しました。
【「黒いモヤ」って何?】これが「金属3Dプリンターの宿敵」です(写真で見る)
金属3Dプリンターはその名の通り、0.01~0.05mmという微小な金属粉末を素材に用いる製造機械です。印刷範囲内に金属粉末を薄く均一に広げ、部品形状に合わせてレーザーを当てて溶かし固め、層を重ねながら部品を“印刷”する仕組みです。今回はF1車両のエンジンに使用する部品(ハウジング)のサンプルをもとに工程を説明しました。
3Dプリント技術は金型に依存しないため、複数の形状を同時に検討する場合など、少量多品種での部品生産に適しています。また金属部品を3Dプリンターで製造すると、従来の鋳造・鍛造方式では作れない複雑な形状にも対応できるほか、より高い強度を得られるのも特徴。これらを活かし、部品そのものを軽量化できることなどもメリットに挙げられます。
このため、装置と設計データがあれば部品を自在に製造できるようにも見えますが、本田技術研究所の木森将仁チーフエンジニアは「実際には、なかなか難しい」と説明します。
「例えばレーザーを金属粉末に当てると、熱で溶けた金属が蒸発して、黒い“もや”のような蒸気になります。この蒸気がレーザーの邪魔になり、金属がうまく溶かせない事象が起こります。また、金属粉末は少量で固まり、火花としても飛び散りますが、これは粉末そのものよりも溶けにくく、品質低下を招きます。こうした事態を抑制するための技術開発に、多くのノウハウが必要なのです」(木森氏)
また、現状では製造コストの圧縮にもなりません。3Dプリントの部品コストは、条件を最適化しても「従来の部品の20~100倍レベルになることもある」とのことで、一般レベルの普及に向けた大きな障壁といえます。
しかし、木森氏は「やっぱり将来的に、皆さんの手に届くような価格帯の量産製品へ金属3Dプリンターを用いた部品を使いたい」と強調します。
「本田技術研究所のように、設計開発から材料研究、製造の設定調整までできる人員やノウハウを持っている企業は、世界レベルで見てもなかなかありません。こうした強みを生かし、部品の占有スペースを最小化して、室内空間を最大化するホンダ独自の『MM(マンマキシマム・メカミニマム)思想』での製品づくりや、金型や在庫の管理が必要ない、コンパクトな工場の実現を推し進めていきたい」と意気込みました。

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