極寒環境での運用能力を検証

 ドイツのトラックメーカーであるダイムラー・トラックは2026年3月3日、メルセデス・ベンツ「ゼトロス」の軍用向け車両について、フィンランドの北極圏において極寒環境下での試験を実施したと発表しました。

【極寒の雪原を疾走!?】これが、北極圏でのテストの様子です(写真)

 今回の試験は2026年初頭に実施されました。

期間中、現地の気温はマイナス20度にまで下がり、路面の大部分は凍結し、厚い積雪に覆われていました。同社によると、こうした環境は極寒地における性能検証として理想的な条件だったといいます。メルセデス・ベンツ・スペシャルトラックの専門チームが数週間にわたり各種チェックを行い、厳しい冬季条件下でも車両が確実に運用できることを検証しました。

 試験では、凍結路面におけるトラクション(牽引力)や走行安定性、低温適応性能、冬季運用信頼性などが包括的に確認されました。その結果、安定したハンドリング性能を維持し、すべての技術的要件を満たしたとしています。

 冬季試験の一環として、車両はマイナス40度の専用低温チャンバー内でのコールドスタート試験も実施されました。また、氷雪路面での電子制御スタビリティプログラム(ESP)の作動検証も行われました。ESPは横滑りを防止し、滑りやすい路面での走行安定性を高めるシステムです。

 さらに、さまざまな路面やトラクション条件下におけるブレーキ性能も検証されました。無積載および積載状態の双方で試験が行われ、車両の片側の車輪のみを氷板や砂利道に載せるなど、極限状況を想定したテストも実施されています。このほか、灯油燃料での運転試験や、タイヤ空気圧を調整して雪上での接地面積を拡大するタイヤ空気圧制御システムの確認も行われました。

 なお、マイナス40度という世界は、かつて某オイルメーカーがCMで放送していた、「(凍った)バナナで釘が打てる」ほどの環境です。

同社は、こうした条件下でも確実に始動・走行できる性能を重視していると説明しています。

 軍用仕様のゼトロスは、カナダやリトアニア、ウクライナなど寒冷地で運用する国々に採用されています。メルセデス・ベンツ・スペシャルトラックCEOのデニス・キンツェルマン氏は「お客様は、いつでもどこでも、北方地域の凍てつく冬であっても確実に機能する車両を必要としています。その要求に応えるため、当社は極寒かつ厳冬の環境下で非常に過酷な試験を実施しましたが、車両は今回も見事にそれをクリアしました」とコメントしています。

 なお、ゼトロスシリーズでは2024年に8輪駆動の「ゼトロス8×8」も発表されており、ラインアップの拡充が進められています。

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