乗用車とは異なる車体特性から見た「嫌なクルマ」「困るクルマ」

 乗用車の運転中、前方にトラックがいると運転しにくいと感じることがあります。しかし、トラック側にも「こういうクルマがいると困る」というケースがあり、重大な事故を招くこともあるようです。

【大事故に発展することも】これがトラックドライバーから見る「困るクルマ」です(画像)

 トラックドライバー目線での「嫌なクルマ」「困るクルマ」を、元大型トラックドライバーの交通心理士で、近畿大学・生物理工学部の島崎 敢准教授に聞きました。

「トラックは『車高が高くて重い』『その重さに対してエンジンパワーが不足気味』『カーブなどでは大きな遠心力がかかる』など、乗用車とは異なる車体の特性があります。

 こういったトラックの特性上、『そういう運転をする乗用車が前を走っていると困る』というケースは確かにあります。中には結果的に渋滞を起こすものだけでなく、重大な交通事故を招くものもあります」

 そこで、島崎准教授は「思いつく例」として、以下8つを挙げました

坂道やトンネルでペースを一定に保たないクルマ

「大型車は荷物の重さに対してエンジンのパワーが不足しているため、登り坂ではなるべく速度を落とさずに走りたいのが本音です。

 しかし、前のクルマが坂道やトンネルに入って急に減速してしまうと、トラックは一気に失速してしまい、その後の立て直しに苦労します。こういうクルマが前にいると、困ります」(島崎准教授)

カーブの途中で不用意なブレーキをするクルマ

「トラックは車高が高くて重いため、カーブでは乗用車よりも大きな遠心力がかかります。そのため、旋回中に強いブレーキを踏むなどの挙動を乱す動作は、荷崩れや横転のリスクを高めるため極力避けたいものです。

 先行車には、カーブの手前で十分に減速し、曲がっている最中に急ブレーキを踏むような状況を作らないよう配慮いただけると助かります」(島崎准教授)

加速車線で十分に加速しないクルマ

「高速道路の合流地点などで、加速車線の最後までのんびり走り、合流の直前でブレーキをかけてから加速するようなクルマを見かけます。

 乗用車は軽いので、それでもなんとかなるかもしれませんが、トラックは重い分、本線の流れに乗るスピードに達するまで時間がかかります。そのため、できれば加速車線を目一杯使って加速したいのです。加速車線はしっかり加速していってもらいたいです」(島崎准教授)

追い越しをかけようとすると急に速度を上げるクルマ

「それまでゆっくり走っていたのに、トラックが追い越し車線から抜こうとした瞬間に速度を上げるクルマも困ります。

「あのトラック、邪魔だな…」←「この乗用車、イヤだな…」 ト...の画像はこちら >>

トラックドライバーから見た「嫌なクルマ」「困るクルマ」とは?(画像:写真AC)

 並走状態が長引くと後続車にも迷惑がかかるからです。

もし追い越されるのが嫌であれば、抜かせた後に改めて抜き返していただくほうが、お互いにとって安全です」(島崎准教授)

目的が不明確な急な動きをするクルマ

「その地域とは違う県ナンバーのクルマなどで、道に迷っているのか、急にウィンカーを出してコンビニに飛び込んだり、急ブレーキをかけたりするケースがあります。

 車体の重いトラックは急には止まれません。多くのドライバーは『かもしれない運転』で距離は取っていますが、予測不能な動きは最も神経を使います」(島崎准教授)

交差点の停止線を守らないクルマ

「狭い交差点では、大型車は道路の幅をいっぱいに使わなければ左折できません。

 停止線を越えて止まっている車がいると、トラックは曲がりきれずに立ち往生してしまうことがあります。この場合、結果的に周囲の渋滞を招くことになります。乗用車を運転する方にはどうか停止線を守っていただきたいと思います」(島崎准教授)

直前への無理な割り込みと、その後の急ブレーキや左折をするクルマ

「トラックの直前に無理やり割り込んできて、そのまま急ブレーキを踏んだり左折したりするクルマがいますが、車体の重いトラックはすぐには止まれません。

 また、追突を避けようと急ブレーキを踏めば大切な荷物が荷崩れして破損してしまうこともあるでしょう。無理にトラックの前に出ようとせず、余裕を持ってからゆっくりと左折してほしいです」(島崎准教授)

自転車の逆走(右側走行)

「自転車が車道を走ること自体はルール通りなので構いませんが、逆走だけはやめていただきたいものです。

「あのトラック、邪魔だな…」←「この乗用車、イヤだな…」 トラックから見た“ヤメてほしい運転”とは? 自転車・歩行者にも苦言
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トラックから見てかなり怖い自転車の車道の逆走(画像:写真AC)

 正面から向かってこられるとトラック側は避けることが難しく、接触のリスクが非常に高まります。ルールを守って必ず左側を走行してほしいです」(島崎准教授)

※ ※ ※

 ここまでがトラックドライバーから見た「嫌なクルマ」「困るクルマ」ですが、いずれも交通ルール上守ればクリアできるものばかり。この辺は改めて自分の運転特性やクセを見直し、トラックを含む他のクルマに迷惑をかけないよう取り組むべきでしょう。

 一方、島崎准教授は、交通弱者である歩行者に対しても、トラックドライバー目線で「困る」と思う行動があると言います。

「車道にはみ出している歩行者です。赤信号を待つ歩行者の方が、車道に一歩踏み出して立っているのを見かけることがありますが、トラックドライバーから見て、これは非常に怖いです。

 トラックドライバーの多くは、内輪差による巻き込みのリスクを最大限に警戒しています。歩行者の方には歩道の一歩奥で待機していただきたいです。歩行者が交通社会において弱者であることを十分理解していますが、歩行者の方にとっても交通安全の意識を高めていただけるような取り組みが今後行われることに期待しています」(島崎准教授)

 私たちの生活にとって、物流などで日頃からお世話になっているトラック。そのドライバーの目線に立って考えて行動することで、交通における安全度がより高まるのではないでしょうか。

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