実は日本との海戦以降なかった事例

 2026年3月4日、アメリカ国防総省は、インド洋を航行中のイラン海軍フリゲート「デナ」を撃沈したと発表しました。攻撃には、アメリカ海軍の攻撃型原子力潜水艦が使用されました。

【動画】大きな爆風で船体が一気に破壊…これが、イラン海軍フリゲート「デナ」撃沈の瞬間です

 アメリカ軍は世界各地で軍事行動を行っていますが、潜水艦による艦艇の撃沈は第二次世界大戦以降例がなく、約80年ぶりの出来事となります。実は、「デナ」の前にアメリカ海軍潜水艦によって沈められた敵艦の記録として残っているのは、旧日本海軍の第十三号海防艦です。

 第十三号海防艦が沈んだのは、終戦の前日である1945年8月14日、兵庫県香住町(現・香美町)沖で発生した香住沖海戦でした。この海戦では、第十三号海防艦の直前に、第四十七号海防艦も潜水艦によって撃沈されています。第十三号海防艦は、第二次世界大戦で最後に沈んだ戦闘艦といわれています。

 日本側では公式記録が残っておらず、詳細は不明ですが、輸送船を護衛していた第四十七号海防艦が、アメリカ海軍潜水艦「トースク」と香住港付近で交戦。第四十七号海防艦は魚雷攻撃を受け撃沈されました。その後、遅れて駆けつけた第十三号海防艦も同様に撃沈されたといわれています。

 当時から有数の漁港であった香住港付近で行われた海戦だったため、目撃者の話は比較的多く残っており、魚雷を受けて船体が真っ二つになり沈む海防艦を見た人もいたそうです。海軍の要請を受けた付近の漁船は、潜水艦がまだ潜んでいる可能性のある海域で救助活動を行い、両艦の乗組員355名を救出しましたが、56名が戦死しました。

 なお、この2隻の海防艦に対しては、アメリカ軍の資料によると、当時試験的に運用されていたMk28魚雷が使用されました。この魚雷は、音波(ソナー)を発射し、反射して戻ってきた音で目標を探知して攻撃するアクティブ音響誘導式魚雷です。

 この魚雷が第二次世界大戦で発射された例はわずか14回で、命中例は4件。そのうち2件がこの海戦で沈んだ第四十七号海防艦と第十三号海防艦になります。その後、Mk28は1960年代まで使用されます。つまり、両艦は戦後に主流となる誘導魚雷によって撃沈された艦でもあるわけです。

 ちなみに、「デナ」以前に潜水艦による戦闘で沈没した艦艇としては、1982年のフォークランド紛争中、イギリス海軍の原子力潜水艦「コンカラー」によって撃沈されたアルゼンチン海軍軽巡洋艦「ヘネラル・ベルグラノ」が挙げられます。

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