先頭車はミュージアムへ

 小田急電鉄の顔は何といっても特急ロマンスカーです。その特徴は乗客のニーズや時代によって変化してきました。

【ラストラン】後輩のロマンスカーとすれ違う「VSE」を見る(空中写真)

 2005(平成17)年、新たなロマンスカーとして誕生したのが50000形電車「VSE」です。前代の30000形「EXE」は展望車なしのボギー台車タイプでしたが、50000形は新たなフラッグシップをとのコンセプトで、ロマンスカーの伝統を踏襲して連接車となり、2階席運転台の展望車構造となりました。

「VSE」は建築家・岡部憲明氏の「岡部憲明アーキテクチャーネットワーク」がデザインし、白を基調とした流線型ボディの10両連接構造としました。フラッグシップとして小田急が社運を賭けて世に送り出し、グッドデザイン賞、ブルーリボン賞など受賞。50001と50002の2編成が活躍しました。

 2018(平成30)年に後輩格の70000形電車「GSE」がデビューした時、「VSE」は製造から15年が迫っていました。しかし、連接車体のうえに車体傾斜装置を組み込み、車体も修繕が難しいダブルスキン構造のアルミニウム合金のため、主要機器ともども更新は困難と判断されます。「VSE」は車両更新工事を行わず、そのまま2022年3月11日の定期運行終了を迎え、17年の使命を閉じました。

 その後「VSE」は、臨時や団体列車として時々運行していました。とはいえ、それも期間限定です。2023年9月24日には50002編成が引退。そして同年12月10日には、50001編成もラストランを迎え、「VSE」は完全引退となりました。

「VSE」は2編成とも喜多見検車区で休車扱いとなっていましたが、約2年の月日が過ぎた2025年11月17日、小田急電鉄のリリースにより、50001編成は先頭車(50001)のみを「ロマンスカーミュージアム」(神奈川県海老名市)で保存し残りの車両は廃車解体、50002編成は“たくさんの思い出が詰まっている車両と考え(中略)VSEの軌跡を楽しんでいただけるような企画の検討を行いたい”と、小田急電鉄から含みを持たせた発表がされました。

 50001編成は同年12月6日深夜、喜多見検車区から相模大野まで自力回送し、この編成にとって最後の本線走行となりました。このうち先頭車(50001)は、2026年3月19日に「ロマンスカーミュージアム」で一般展示が始まります。この3月19日は2005年のVSE就役日であり、記念すべき日にお披露目となります。

 ここで、2年前のラストランを振り返ってみましょう。空撮の視点からプレイバックをお伝えします。ラストランはツアー運行となり、相模大野~片瀬江ノ島~喜多見電車基地~唐木田間、唐木田~新宿~喜多見電車基地~大野総合車両所~秦野間、秦野~海老名電車基地~箱根湯本~成城学園前間の3コースが設定されました。

「VSE」は臨時運行のため緩行線を走るという、定期運行では見られない光景となりました。経堂付近まで減速を続けていたものの、その後は回復運転となって快走します。新宿では13時20発の下り「はこね」に「GSE」が充当されており、双方が出会うのは参宮橋付近。「VSE」と「GSE」は最後の日のすれ違いとなりました。

「VSE」は引退後も注目されるロマンスカーとなりました。

なお、50002編成は引き続き喜多見検車区に保管されており、今後の動きが気になります。

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