生活道路などの路面に、幾何学的な模様が描かれていることがあります。これは「イメージハンプ」と呼ばれるもので、視覚のマジックとも言える効果によってクルマにスピードダウンを促します。
住宅街の狭い道路などで、白や青、黄などの幾何学的な模様が路面に描かれていることがあります。
交差点に設置された三角形と四角形を組み合わせた幾何学模様の正体は…(写真出典:積水樹脂)。これは「立体路面標示」「立体減速標示」などと呼ばれるもので、「イメージハンプ」と通称されています。ハンプは「こぶ」の意味です。道路関連では、道路上や駐車場などにクルマの速度を抑制させるために設けられたカマボコ状の突起などを指します。
ハンプのような物理的な凸部を設けることなく、視覚効果によって立体的な障害物に見せかけるものがイメージハンプです。これを「ソリッドシート」の商品名で販売している積水樹脂によると、ドライバーに注意を促し、アクセルから足を離させて事故を防止する目的で開発されました。
「イメージハンプ」にはハンプの代用だけでなく、たとえば車線内の左右に設けることで通行帯を狭く見せるタイプや、車線の外側に設けて縁石があるように見せかけるタイプ、高速道路の入口で逆走による進入を防止するために、ドライバーのほうに向いた矢印が立体的に見えるタイプなどもあります。
早い、安い、安全 見慣れられても効果あり?積水樹脂によると、イメージハンプは20年ほど前に大阪府警と共同で開発したそうです。
「おもに生活道路やいわゆる『スクールゾーン』での交通事故対策などに採用されています。道路を改修することなく施工できるので、実際のハンプやガードレールを設けるよりも大幅に時間やコストを削減できます」(積水樹脂)
大阪府警との実証実験において、「イメージハンプ」設置前と設置後の4か月間を比較したところ、クルマのスピードは約10km/hダウンし、事故件数は46%ほど減少したそうです。狭い道路でも物理的な制約を設けることなく速度抑制対策ができ、歩行者や自転車の通行を阻害しない点もメリットといいます。
何度も通過するにつれ、ドライバーが「イメージハンプ」に慣れてくることも考えられますが、積水樹脂によると、見慣れた後でも危険箇所の目印として認識されるので、速度抑制につながるといいます。
「『日本発』の技術であると自負している」(積水樹脂)という「イメージハンプ」は、オランダやスウェーデンなど海外でも採用事例があるそうです。
【画像】さまざまな種類がある「イメージハンプ」

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