ドライブ中、走行音が音階に聴こえる道路があります。SNSなどでは「窓を閉めていてもハッキリ聞こえる」と驚きの声があがることがありますが、いったいどのような仕掛けで「音階を奏でる」ようになっているのでしょうか。
その正体は、道路の表面に細かく刻まれた「溝」にあります。路面に横方向の細い溝(例:幅9~24mm程度、深さ約6mm)を連続して刻むことで、タイヤが通過するときの音を利用してメロディを作り出しているのです。
仕組みは意外とシンプルです。タイヤが溝の角に当たると、小さな「ガタッ」という衝撃音が発生します。この音が1秒間に何十回、何百回と連続することで、私たちの耳には特定の高さの「音」として届きます。
このとき、溝と溝の間隔を狭くすると高い音に、広くすると低い音に聞こえます。この間隔を緻密に計算して配置することで、正確な音階を作り出しているのです。
なお、音の聞こえ方は車種や走行速度、路面の状況などで変化します。発祥の地とされる北海道標津町の案内では、安全かつ綺麗に音を聴くため「窓は閉めて」「法定速度内で」走行するよう注意が示されています。
楽しみだけじゃない! 安全な速度を守り居眠りを防ぐ道路の大切な役割メロディーロードは単なる観光用の楽しみだけではありません。実は、道路の安全を守るための非常に真面目な目的もあります。
メロディロードの意外な役割とは?(画像:写真AC)
ひとつ目の効果は、スピードの出し過ぎを防ぐことです。
メロディーロードは、一定の速度で走ったときに最もリズムよく聞こえるように設計されています。
たとえば、標津町の案内や施工企業への取材記事では、速度40km/h程度が目安として紹介されています。これより速すぎても遅すぎても「音痴」な曲になってしまうため、ドライバーが「キレイに聞きたい」と意識することで、結果として速度を抑えて走る方向に働きます。
2つ目の効果は、居眠り防止などの注意喚起です。
景色が変わらない単調な直線道路などでは、どうしても注意力が落ちやすくなります。そのような場所で路面からパッと音が鳴り、足元から独特の振動が伝わってくることで、ドライバーの意識を運転へと戻すきっかけになります。
この技術は、北海道標津町の施工会社「篠田興業」と、現在の北海道立総合研究機構にあたる工業試験場の共同開発などを経て精度が高められました。2020年時点で、全国30か所以上に設置例があるとされています。
不思議な音楽の正体は、タイヤの振動を計算し尽くした「溝」の高度な技術でした。

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