「新金線旅客化」来年度の見通しは

 東京都葛飾区内を南北に縦断するJRの貨物線「新金線」の旅客化に向けた機運が高まっています。区は来年度予算案に、旅客化に向けた事業化計画を策定するための費用を計上。

今月に入り、臨時列車「新金線旅客化祈念号」が運行されるなど、市民団体も旅客化をサポートしています。

【画像】これが「新金線」旅客化のルートです

 新金線は総武線の新小岩付近(新小岩信号場駅)と常磐線の金町をつなぐ、約6.6kmの貨物線です。単線ですが、貨物線の西側に複線化用地が確保されています。大動脈である総武線と常磐線を結び、東京23区内にある路線でありながら、わずかな本数の貨物列車しか走らない閑散路線となっています。

 区は当初、新金線の旅客化に関しては通常の鉄道やLRT(次世代型路面電車)での旅客化も検討していました。ただ、新金線と平面交差する国道6号の交差方法、高架化が必要になる高砂踏切付近や金町駅への接続など、施設計画上の課題によって事業費増大が確認されたため、BRT(バス高速輸送システム)で旅客化を目指す方針を決定しています。

 区は2025年12月に公表した旅客化の整備構想案で、新金線の複線化用地に専用道を整備し、新たな交通システムを構築する方針を示しました。整備手法は区が専用道や駅、車両などを整備・保有し、民間または第三セクターが運行管理を担う「公設型上下分離方式」の採用を前提として検討が進む見通しです。

 来年度の葛飾区予算案では、旅客化に向けた事業化計画を策定するための費用として2億5800万円が計上されており、新金線用地の基礎調査や道路予備設計などが予定されています。

市民団体も旅客化をサポート

 新金線の旅客化は葛飾区が主体となって検討していますが、一般社団法人「新金線実現の会」も団体臨時列車を運行することで、旅客化の機運醸成を図っています。

 同団体は新金線関連のイベントなどを行う市民団体「新金線いいね区民の会」が母体。これまでも185系やE653系を使い、新金線を経由するツアー列車を仕立て、旅客化の機運を盛り上げてきました。

2026年3月1日(日)には「第6回 新金線旅客化祈念号 内房ツアー」を開催しています。

 今回は国鉄色のE653系を使用し、往路は両国→津田沼→新小岩操→新金線→馬橋支線→吉川美南→二俣支線→五井→木更津を走行。金町~吉川美南間では、定期旅客列車が走行しておらず、乗車難易度が高い武蔵野線の馬橋支線を経由するなど、「乗り鉄」に嬉しい列車となりました。復路は内房線・外房線・総武本線を経由し、木更津→両国間で運行されています。

 なお、新金線は総武線の下り(両国方面)からは直接入線できないため、いったん新小岩を通り越して千葉方面の折り返しが可能な駅まで走行し、方向を変えてから入線します。新金線区間では、複線化用地や国道6号との交差を車内から確認できる点が、「旅客化祈念号」の特徴となっています。

 

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