SNSのショート動画や旅先の港などで、巨大な船が「ボーッ」という大きな音を鳴らしているシーンを見かけたことはないでしょうか。
【これが未来の船!?】「巨大な帆12枚!」のウインドハンターです(写真で見る)
これは「汽笛」などの音響信号装置を用いたもので、自分の船がこれからどう動くかを周囲に伝えるための大切な“言葉”としての役割を持っています。
汽笛の音には、約1秒間だけ鳴らす「短音」と、4秒以上6秒以下の時間鳴らし続ける「長音」の2種類があり、この組み合わせで意味が変わります。これらの吹鳴時間は、国際的なルールに基づく海上衝突予防法で定められています。
たとえば、船同士が互いに見える場所で進路を変えるときには、針路信号を用います。短音1回なら「自船が針路を右に転じている」、短音2回なら「自船が針路を左に転じている」という意味になります。
また、短音3回は「自船が機関を後進にかけている(バックしている)」ことを知らせる信号で、大型客船などが岸壁から離れて出港していく場面でよく聞くことができます。
さらに、相手船の進路や意図が理解できない場合や、その行動が安全でないと判断される場合には、短音を5回以上急速に鳴らして警告します。
「緊急事態」発生! 命を守るための特別な汽笛とは汽笛は、晴れた日の操船だけでなく、視界が悪いときや緊急時にも欠かせません。
汽笛は緊急事態にも使われる?(画像:写真AC)
霧などで前が見えないときには、霧中信号として、2分を超えない間隔で定期的に汽笛を鳴らす義務があります。
船が航行中で対水速力を有するときは、2分を超えない間隔で長音1回を鳴らします。航行中の動力船で対水速力を有しないときは、約2秒の間隔で長音2回を、2分を超えない間隔で鳴らします。姿が見えなくても近くに船がいることを知らせることで、衝突を未然に防いでいるのです。
他にも、狭い水道や航路筋で、障害物のため他船を見通せない湾曲部などに接近する船舶は、長音1回を鳴らして存在を知らせます。
さらに、極めて珍しいのが火災警報です。
特定港内にある船舶で火災が発生した場合(航行中を除く)、周囲に知らせるために長音を5回、適当な間隔をおいて繰り返し吹き鳴らすことが、港則法に基づく規則で定められています。なお、火災警報では、汽笛のほかサイレンを用いる場合もあります。
こうした汽笛の音の高さにも秘密があります。実は船の全長ごとに、汽笛の基本周波数の範囲が定められており、大型船ほど低く響く音が割り当てられています。これは、低い重低音ほど遠くまで届くという音の特性を活かしたものと言えるでしょう。
汽笛を聞くと、旅情や港の郷愁を感じたりしますが、じつはその回数や音の高さで、明確な使い分けがなされているのです。

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