道路は⼤きく分けて、公道と私道が存在します。公道で道路交通法を逸脱すれば取り締まり対象となりますが、個⼈が所有する私道は、「道路交通法が適⽤されないケースが多い」と、まことしやかに語り継がれています。
【すべての取り締まりはムリ?】これが私道における法的な扱いです(画像)
そのため私道での違法駐⾞が相次ぎ、近隣の⼈たちが困るケースもあるようです が、弁護⼠法⼈ユア・エース(東京都中央区)の正⽊絢⽣代表弁護⼠によれば、⼤前提として「私道が⼀律に道路交通法の法規外にある」というわけではないといいます。
「『私道だから⼀律に交通取り締まりの対象外』という⾔い⽅は正確ではありません。⼤事なのは『公道か私道か』という所有関係よりも、道路交通法がいう『道路』に当たるかどうかです。
道路交通法の『道路』には、道路法上の道路(いわゆる公道)だけでなく、『⼀般交通の⽤に供するその他の場所』も含まれます。つまり、名義上は私道でも、⾨扉もなく誰でも出⼊りでき、実際に不特定多数のクルマや⼈が通⾏するような状態であれば、道路交通法の適⽤対象になり得て、駐⾞違反の取り締まりが⼊りうる、というのが基本構造です。
反対に、チェーンやゲートで閉鎖され、関係者しか通常通れない管理が徹底された場所だと、『⼀般交通に供している』とは⾔いにくく、交通取り締まりというより、所有権侵害としての⺠事対応が中⼼になります」(正⽊弁護⼠)
実際には公道・私道関係なく、不特定多数のクルマや⼈が通⾏する道で、道路交通法に違反する運転者がいれば取り締まりの対象にあたり得るようです。
ただし、「駐⾞違反として取り締まれるかどうか」は、様々な要素がなければできないともいいます。
「ここで誤解が起きやすいのは、『道路交通法の対象になり得る』ことと『駐⾞違反として必ず処理される』ことが別物だという点です。駐⾞違反には、標識・標⽰による規制や、法定の駐⾞禁⽌場所に当たるか、交通の危険・⽀障があるかなど複数の要素が絡みます。
ですから『私道=全部 OK』とも『私道=全部アウト』とも⾔い切れず、開放性・利⽤実態と現場の規制状況が結論を左右します。相⼿⽅(ドライバー)側も、公道と区別がつきにくい構造だと『ここは私道だと気づかなかった』と主張しやすいので、私道側の表⽰や管理の明確さが、法的にも実務的にもとても重要になります」(正⽊弁護⼠)
警察が取り締まりに踏み切るかどうかは「事案次第」しかし、ここまでを聞いてもまだわからないのが、前述のような開放性・利⽤実態と現場の規制状況を満たしている場合であれば、警察は必ず取り締まりをするのかということです。
果たして本当に「私道」は道路交通法の法規外にあたるのか(画像:写真AC)
ここで取り締まりに⾄るまでは「あるハードル」が存在するとか。
「警察が対応してくれるかは、正直に⾔うと事案次第です。前述のように、私道でも⼀般交通に供している実態があり、道路交通法上の『道路』に当たり得る、または駐⾞によって交通の危険・⽀障が具体的に出ている(緊急⾞両が⼊れない等)場合は相談に乗りやすく、現場確認や交通違反としての処理に繋がる可能性があります。
他⽅で、閉鎖性が強い場所で『私有地トラブル』の印象が濃いと、警察としては⺠事不介⼊の建て付けから『当事者間で』と⾔いがちになるかとも思います」(正⽊弁護⼠)
こういったハードルが「私道=取り締まり⾮対象」の誤解を⽣んでいるようにも思います。私道の持ち主に⽴ってみれば、なんだか理不尽な感じもしますが、正⽊弁護⼠はこう続けます。
「ただし、私道で違法駐⾞があったとして、退去を求めても居座るなど、状況が悪質であれば、不退去(刑法 130 条)の問題として相談できる余地もあります。最終的に相⼿が特定でき、反復・悪質な場合には、弁護⼠名での内容証明、差⽌めや損害賠償の請求、さらに必要であれば仮処分等の法的⼿続という『正⾯ルート』が考えられます」(正⽊弁護⼠)
私道の持ち主による⾃⼒⾏使は「基本的には避けるべき」ただし私道の持ち主の中には、こういった「正⾯ルート」を⾯倒に思って、あるいは「俺の⼟地で何してやがる」と感情的になって、違法駐⾞などの対象者に⾃⼒⾏使を⽬指す⼈もいるかもしれません。しかし、正⽊弁護⼠は「基本的には避けるべき」だといいます。
正確には私道でも、不特定多数の人やクルマが通る道であれば、取り締まりは可能(画像:写真AC)
「現場で感情的に『勝⼿に⾞両を移動する』『タイヤロックをかける』『⾞両が傷つくような貼り紙をする』など⾃⼒救済に踏み込むと、⾞両の破損・トラブルが⽣じた際にこちらが責任を問われるリスクが⾼まりますので、基本的には避けるべきです。
現実的には、まず写真や動画で『いつ、どこに、どの⾞が、どの程度通⾏を塞いでいるか』を押さえ、可能なら運転者に退去要請をします。運転者不在なら、穏当な注意書きを残し、再発が続くなら看板や区画線、ポールやチェーンといった管理措置を強化して『誤解の余地』を減らしていくのが、結局最も効果的だと思います」(正⽊弁護⼠)
最後に⼀般ドライバー・私道の持ち主双⽅への、正⽊弁護⼠の個⼈的な思いを聞きました。
「まず、⼀般ドライバーの⽅への私の個⼈的な思いは、私道は『誰かの⽣活の動線』であることが多く、数分のつもりでも相⼿には⼤きな負担になり得る、ということをわかっていただきたいということです。
公道に⽐べて標識が分かりにくい場所もありますが、だからこそ『迷ったら停めない』『クルマから離れない』『短時間でも許可なく塞がない』という配慮が、結局は⾃分を守ることにもつながります。
また、私道の持ち主側も、相⼿の事情が⾒えない場⾯があることは⼀度受け⽌めつつ、ただし危険や⽀障が出る以上は、ルールと管理の線引きをはっきりさせる。このバランスが現実的な対策だと思います」(正⽊弁護⼠)

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