ニュースで客船や貨物船、タンカーなどを紹介するとき「〇〇トン」といった言葉を耳にします。実はこの「トン」という単位、ひとつではなく、“複数のトン”が存在します。
【イラスト解説】一目でわかる! 「総トン数」と「載貨重量トン数」
まず「総トン数」ですが、私たちがイメージする「重さ」ではありません。これは船体や上部構造など船内の容積を所定の計算方法で算出し、係数を掛けた数値で表したものです。つまり、重さではなく船の「容積(大きさ)」を表しています。
この数値は、船舶の登録(いわば「戸籍」)の基準や、法令上の区分に用いられる重要な指標として扱われます。
いっぽう、貨物船やタンカーで重視されるのが「載貨重量トン数」です。こちらは船がどれだけ荷物を積めるかという「重量(積載能力)」を表しています。
これは「排水量」をもとに計算します。排水量とは、船を浮かべたときに押しのける水の重量であり、実際の船の重量と等しい数値となります(これをアルキメデスの原理と呼びます)。つまり、載貨重量トン数は、空の状態での排水量と、貨物や燃料・食料・水などを満載したときの排水量の「差」を示す数値なのです。
この2つの数字は、船の種類によって違いがはっきりと表れます。
たとえば、「総トン数」2万8856トンの大型客船があるとします。
そもそも、なぜ容積や積載力を表す単位に「トン」という言葉が使われるようになったのでしょうか。そのルーツは大航海時代の欧州、15世紀頃まで遡るとされています。
当時、フランスからイギリスへワインを運んでいた船では、ワインを入れた酒樽(Tun)をいくつ積めるかが、その船の能力を測る基準となっていました。
酒樽を数える際には、中身が空かどうかを確認するため棒で叩きました。このときの「タン、タン」という打音、または樽そのものを指すtun(=ton、tone)という言葉が、単位「トン」の由来になったと説明されています。
現代では、こうした歴史的な背景から生まれた船を測る単位が整理され、用途にあわせて使い分けられているのです。また、今回紹介した2つ以外にも、客室などの収益に貢献する部分のみを測った「純トン数」や軍艦などで用いる「排水トン数」といった測り方があります。
まとめると、船の「カサ」を知りたいときは「総トン数」、「運べる量」を知りたいときは「載貨重量トン数」ということです。次に船のニュースを見るときは「トン」が何を表しているのか注目してみると、その船の用途や役割を知ることができるでしょう。

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