「二人乗り」における「乗り方」は法令には記載がない

 筆者の遠い昔の青春時代、彼女をバイクの後ろに乗せ、度々タンデム(二人乗り)デートをしたことがあります。ですが、やたらとベタベタ抱きついてきたりして「いい加減にしてくれ。

運転できないじゃないか」とたしなめた記憶も。

【え、ダメなの】これが「タンデム」が禁止されている区間です(画像)

 しかし、大人になった今ふと改めて思うと、「そもそもタンデムの後ろに乗る人には、法的な制限があるのか」といった疑問も浮かびます。実際、バイクの後ろに乗る人が、バイクのどの部分を掴んで乗るべきか、運転者の腹や肩などの体につかまるべきか、こういった記載が道路交通法にはないようにも思います。

 言い換えれば後ろに乗る人が、運転者にベタベタ抱きついても法令には違反しない、ということにもなるのでしょうか。この素朴な疑問について、アディーレ法律事務所に所属する南澤毅吾弁護士に解説してもらいました。

「バイクの二人乗りとは、法律上では、『運転者のほかに1人を後部座席に乗せて走ること』をいいます。

 危険性が高いことから、免許を取ってから一定期間が経っていること、後部座席に着座することなど、定められた条件を守らないと交通違反になります。一方で、二人乗りにおける乗り方を細かく、具体的に定めた法律はありません。

 ただし、道路交通法70条の『安全運転義務』に従う必要はあり、座席に正しくまたがり、足をフットレストに置くなど、車体の安定を損なわない乗り方が求められています。立ち乗りなどの明らかに危険な乗り方をしていれば、警察の取り締まりを受けるリスクがあります」(南澤弁護士)

 また、冒頭で触れたようなバイクに乗っている後ろの彼女が運転者にベタベタ抱きついたりする行為についても、法律上には具体的な記載はないものの、度が過ぎれば違反となることもあるだろうと、南澤弁護士はいいます。

「同乗者が運転者に過剰に抱きついたり、体を不必要に動かしたりする行為は、車体のバランスを崩す原因となります。車体の安定性を損なうという点で、物理的な危険性があります。

これに加えて、ドライバーの注意力を損ない、わき見運転を誘発するという危険もあります。度が過ぎた危険な乗り方は、道路交通法70条の『安全運転義務』に違反し、交通違反となる可能性があります」(南澤弁護士)

運転者・同乗者双方で安全運転への意識を共有することが重要

 バイクのタンデムに関する具体的な法律上の規制はなくとも、常識の範囲を逸脱すれば当然取り締まり対象になる、ということのようです。

やたらベタベタ抱きついてくる後ろの彼女は「違反」ですか? …...の画像はこちら >>

「タンデム」「二人乗り」における乗り方を細かく定めた法律はない(画像:写真AC)

 最後に南澤弁護士は、「後ろに乗る人」が注意すべき点と、安全にタンデムデートを楽しむための助言をくれました。

「バイクの二人乗りで特に危険なのは、運転経験の少ない同乗者が、意図せず危険な行動に及んでしまうことです。

『急な体重移動や不用意な接触を避ける』『事前に合図や姿勢について意思疎通をしておく』など、運転者と同乗者の間で、事前に安全運転への意識を共有することがまず重要でしょう。

 そして、乗り方も大切ですが、乗る場所も大切です。交通量の多い道路や不慣れな道ではリスクが高まるため、運転者・同乗者とも初心者同士の場合は特に注意が必要です」(南澤弁護士)

 また、バイクでのタンデムデートを安全に楽しむのであれば、「無理のないルートを選び、こまめに休憩を取り、余裕のある運転を心がけることも大切かと思います」と南澤弁護士は話します。

「法律を守る意識はもちろんですが、法律を守るだけで事故が起こらないわけではありません。危険な状況を自ら避けるという意識を持つことが、安全運転につながります。同乗者の安心と信頼を守ることも、運転者の大切な責任の一つだと思います」

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