大宮からひと駅南のさいたま新都心駅周辺に、さいたま市が長距離バスターミナルを整備します。どのような需要があり、どのようなターミナルがつくられるのでしょうか。
さいたま市が、さいたま新都心駅(さいたま市大宮区)付近に長距離バスターミナルを整備します。同市の清水勇人市長は2017年8月31日(木)の定例会見にて、その用地取得費約57.5億円を盛り込んだ補正予算案を発表しました。
長距離バスターミナルが整備される、さいたま新都心駅周辺(画像:photolibrary)。
さいたま新都心駅は、東北新幹線や上越新幹線をはじめ多数の路線が交わる大宮駅から、京浜東北線などでひと駅南に位置します。埼玉県における交通の一大拠点である大宮駅からやや離れた場所に整備される長距離バスターミナルは、どのようなものなのでしょうか。さいたま市交通政策課に聞きました。
——バスターミナルはどのような目的で整備するのでしょうか?
大宮駅周辺に発着する大型バスによる交通混雑を緩和し、さいたま新都心の拠点性、利便性を高める目的があります。大宮駅周辺を発着する高速バス、ツアーバスは路上で乗り降りをしている状態で、発着場所も点在しているのですが、これらをひとまとめにします。
——点在している乗り場を1か所にまとめる点は「バスタ新宿」と似通う部分がありますが、意識はされているのでしょうか?
はい。計画策定にあたり視察なども行いました。ただ、2020年東京オリンピック・パラリンピックで(さいたま新都心駅付近の)「さいたまスーパーアリーナ」がバスケットボールの、(埼玉高速鉄道・浦和美園駅付近の)「埼玉スタジアム2002」がサッカーの競技会場になることから、それに間に合わせるという課題があり、まずは暫定的に整備した段階で開業する予定です。
大宮でなくていいの?——大宮駅、さいたま新都心駅周辺にはどれほどの長距離バスが発着しているのでしょうか?
2014年に調査した段階での数値ですが、大宮駅周辺からは1日68便、さいたま新都心駅からは19便が出発しています。
——大宮のほうが便数が多いですが、さいたま新都心でよいのでしょうか?
大宮発着の高速バスを、すべてさいたま新都心に集約するわけではありません。新たに整備するバスターミナルの敷地には大型バスが複数台駐車できるスペースを設けますので、大宮駅周辺で長時間路上で待機するようなバスについては、そちらでお待ちいただくような形になります。
——いつ開業するのでしょうか?
2019年までに、舗装した平場の駐車場と、利用者の待合スペースなどを設けて暫定開業する予定です。本格開業は2020年以降になるでしょう。施設についても現在検討中で、「バスタ新宿」のように立体的、複合的なものになる可能性もあります。
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明治以降、鉄道の拠点として発展した大宮駅周辺に対し、さいたま新都心駅周辺は2000(平成12)年に「街開き」した新しい地域です。国の行政機関やショッピングモール、前出の「さいたまスーパーアリーナ」などが立地しています。
さいたま市の担当者は、「長距離バスについては、ひとまず大宮とさいたま新都心の2拠点体制になると思います。そのためにも、さいたま新都心における交通の拠点性を高める必要があります」としています。
【地図】さいたま新都心駅周辺とバスターミナル予定地の位置

バスターミナルは三菱マテリアルの研究所跡地およそ1万5000平方メートルを取得して整備される(画像:さいたま市)。