クルマのダッシュボードに物を置いている人もいるかもしれませんが、自動車メーカーは、万が一の事故時にエアバッグが開くと危険なため、物を置かないように呼び掛けています。その制約からデザインも変化しているそうです。
ダッシュボードの助手席側に物を並べたり、すべり止めマットを敷いてスマートフォンなどを置いていたりする人がいるかもしれません。
ダッシュボードの上に置いたものは、万が一の事故時には乗員に飛んでくることも。写真はイメージ(画像:写真AC)。
しかし、ホンダによるとこれは危険とのこと。「ダッシュボードの助手席側にはエアバッグが入っています。万が一の事故時にこれが展開すると、物が飛んできてケガをする原因になります。スマートフォンのスタンドなども置かないでください」といいます。
そもそも、最近のクルマはダッシュボードが傾斜していますが、ホンダによるとこれは、「あえて物を置けないようにしていることと、デザインを考慮して丸みを帯びた形状になっています」と話します。
「かつてのダッシュボードは平べったく、車種によっては上面がトレイのようになっているものもありましたが、ダッシュボード上面から展開する助手席エアバッグが標準化して以降、ケガ防止の観点から現在のような形状になっていきました」(ホンダ)
ダッシュボードの上面のみならず、エアバッグが展開するスペース全体に物入れや物置を設置していないとのこと。たとえばドリンクホルダーなども、そのような位置を避けて設けられているそうです。
物が「エアバッグに挟まる位置」ならOKホンダによると、エアバッグの制約によってダッシュボードに物が置けなくったため、別の箇所に物置きなどを設けて代替する例も増えたといいます。
「センターコンソール(運転席委と助手席を隔てる部分)に物入れや物置きを設けるケースが増えていきました。
ダッシュボードの下方に横長のオープントレイ(矢印の位置)がある車種も。「フィット シャトル」の例(画像:ホンダ)。
一方、ダッシュボード下方の物入れ(グローブボックス)の上が、ちょっとした物を置けるような横に長いスペース(オープントレイ)になっている車種もあります。ここには物を置いてよいのでしょうか。
ホンダによると、「そのスペースにある物は、エアバッグとダッシュボードのあいだに挟まります。乗員側に直接飛んでこないので大丈夫です」とのこと。たとえば追突した際には、衝撃で前方に押し出された体をエアバッグが支えますが、これと同様に、オープントレイに置かれたものもいったん進行方向に押し出されるので、直接飛んでくることはないのだそうです。
ちなみに、ダッシュボードの運転席側あるいは中央部の助手席エアバッグに干渉しない場所に、スマートフォンやナビを取り付けるホルダーを設置している人がいるかもしれませんが、この取り付け位置には注意が必要です。というのは、道路運送車両法の保安基準に「前方視界基準」で、「自動車の前方2mにある高さ1m、直径0.3mの円柱(6歳児を模したもの)を鏡等を用いず直接視認できること」とされており、この視界を妨げないようにする必要があります。
【図】スマホスタンドの取り付けは注意 「前方視界基準」とは
ダッシュボードにスタンドなどを取り付ける際には、運転者の視界を妨げず、自動車の前方2mにある高さ1m、直径0.3mの円柱を直接視認できるようにする必要がある(画像:国土交通省)。

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