新東名の神奈川県区間のうち、厚木南IC~伊勢原JCT間が開通します。東名の静岡方面から伊勢原JCT経由で、海老名JCTを使わず圏央道に抜けるルートが完成し、渋滞回避に活用できるほか、東名の大和トンネル付近の状況も改善しそうです。
建設が進められている新東名高速の神奈川県区間。そのうち厚木南IC~伊勢原JCT間の約4kmが、2019年3月17日(日)15時に開通します。
片側2車線の新東名 厚木南IC~伊勢原JCT間(2019年3月5日、中島洋平撮影)。
神奈川県内の新東名は、圏央道に接続する海老名南JCTを起点に、厚木南ICまでの1区間が2018年1月に開通。今回、そこから伊勢原JCTまで開通することで、東名高速に連絡します。
「今回の開通により、伊勢原JCTと圏央道とのあいだで、東名と新東名によるダブルネットワークが完成します。現在の東名上り線は、大和トンネル(海老名JCT~横浜町田IC間)を先頭とする渋滞が、東名と圏央道が接続する海老名JCT以西まで延びることがありますが、それを回避し、新東名経由で圏央道へ入れるようになります」(NEXCO中日本 厚木工事事務所 工務課長 高橋秀武さん)
また大和トンネルを先頭とした東名上り線の渋滞は、海老名JCTで圏央道に向かうクルマの流れ、さらに小田原厚木道路が接続する厚木ICで合流してくるクルマの流れも、その渋滞を助長していました。今回の開通で、そのうち前者を新東名へ“逃がす”ことも可能になります。NEXCO中日本の調べでは、現在の東名上り線で東京方面に向かわず、海老名JCTで圏央道へ入るクルマは、全体の約30%に上るとのこと。
NEXCO中日本の高橋さんによると「海老名JCTは特に、圏央道の八王子方面へ向かうクルマで混雑しますが、そうしたクルマが伊勢原JCTから新東名で海老名南JCTへ迂回した場合、走行距離は1km延びる程度です。八王子方面へ向かうクルマにもメリットが大きいでしょう」とのこと。大和トンネル付近の交通量は変わらないものの、東名上り線の海老名JCT付近で発生する渋滞要因は、今回の新東名開通によって改善されるといいます。
新東名の伊勢原JCTから海老名南JCTまでは、ほとんどが高架橋です。最高速度は100km/h(設計最高速度120km/h)、東名よりも車線数が少ない片側2車線ですが、線形が緩やかで走りやすいとのこと。海老名南JCTも比較的余裕を持った造りで、「用地に制約があった海老名JCTのように、急カーブのランプ橋で渋滞することはないでしょう」(NEXCO中日本 高橋さん)といいます。
なお伊勢原JCTは、今回の開通では「新東名下り線から東名下り線」「東名上り線から新東名上り線」のランプウェイだけが開通します。2019年度に予定されている新東名 伊勢原JCT~伊勢原大山IC間(約2km)の開通とともに、「新東名上り線から東名上り線」「東名下り線から新東名下り線」へのランプウェイも完成しますが、それ以外(新東名上り線から東名下り線、東名下り線から新東名上り線)のランプウェイは造られません。つまり「下り線から下り線」「上り線から上り線」の行き来のみができるJCTになります。

伊勢原JCT付近の道路表示板。

伊勢原JCTの空撮。右が厚木南IC方面(画像:NEXCO中日本)。

新東名 海老名南JCT~伊勢原JCT間の概要(画像:NEXCO中日本)。
NEXCO中日本の高橋さんによると、本来は厚木南IC~伊勢原大山IC間が同時に開通する予定だったところ、伊勢原大山IC付近における埋蔵文化財の調査に時間を要したため、今回は厚木南IC~伊勢原JCT間のみの開通になったそうです。現在、伊勢原JCTから伊勢原大山IC付近までは、高架橋の架設も完成しているといいます。
また現在、東名の大和トンネルを片側3車線から4車線に拡幅する工事も行われています。こちらは、2020年「東京オリンピック・パラリンピック」までの完成が予定されています。