JALがボーイング777型機の後継として導入する、エアバスの最新鋭機「A350 XWB」シリーズ。そのひとつであるA350-900型機の機内へ入ると、大きなパソコンのようなコックピット、広い座席、大容量の荷物棚といった特徴がありました。
JAL(日本航空)が日本の航空会社で初めて導入するエアバスA350-900型機の初号機(機番:JA01XJ)機内が2019年6月20日(木)、羽田空港のJAL格納庫(M2ビル)で初公開されました。A350-900型機は、エアバスの最新鋭旅客機「A350 XWB」シリーズのひとつです。
機内がお披露目されたA350-900型機のJAL初号機(2019年6月20日、伊藤真悟撮影)。
国内線仕様ながら、全座席に個人モニター、電源コンセント、USBポートを用意。個人モニターでは、垂直尾翼などについた機外カメラの映像も見ることができるほか、国内線は飛行時間が短いため、ビデオプログラムの視聴途中に飛行機を降りたとしても、中断時に発行された8桁の番号を次回搭乗時に打ち込むことで、その続きから再開できる機能を付けたといいます。

従来より1席の幅が広がった普通席。

ファーストクラスの座席。

クラスJの座席。
客室は全369席で、ファーストクラス(12席)は横2-2-2列、クラスJ(94席)は2-4-2列、普通席(263席)は3-3-3列の配置が基本の3クラス構成です。JALによるとA350 XWBシリーズは、ボーイング777シリーズの後継機種として導入するとのこと。
JAL国内線に就航中で、A350-900型機と同程度の輸送力を持つボーイング777シリーズは、ボーイング777-200型機(全375席)です。2つの機種を比べると、座席の横配置はファーストとクラスJはほぼ同じなものの、ボーイング777-200型機の普通席は3-4-3列。
上位クラスの座席も新たに開発。ファーストクラスはマッサージ機能を搭載しており、日本では初の試みだそうです。モニターは国内線最大級の15.6インチ。ジャムコ(東京都立川市)と共同で開発し、ソファーのような座り心地を目指したそうです。クラスJも、フットレストを好きな位置にセットできるよう改良したといいます。
コクピットはまるで「大きなパソコン」! 荷物棚に工夫JALによるとA350-900型機の客室荷物棚(ハットラック)は、収納力が強みだといいます。機内持ち込みができる大きさのスーツケース(キャスター付き)を縦置きで5個収納可能なものを設置。すべてのクラスで乗客1人がひとつ以上のスーツケースを持ち込んでも、収納可能です。また、このことで荷物棚を閉めるのが重くなってしまうため、アシスト機能も装備し、負担を減らしているとのことです。
コクピットは、A4サイズより大きいディスプレイが6枚設置されています。
また、従来の機種でコントロールホイールがあったディスプレイの前には、キーボードが設置されており、コクピット全体が巨大なパソコンのような作りです。

巨大なパソコンのようなA350-900型機のコクピット

A350-900型機のコクピットモニターはA4サイズより大きい。

荷物棚は縦置きスーツケースが5個収納できるという。
エアバスの飛行機をJALが新規に導入するのは今回が初めて。同社の赤坂祐二社長はその理由について、「ボーイング777型機の置き換えを考えたときに、タイミング的にA350 XWB型機がマッチしました。A350 XWB型機は非常に燃費が良く、もし国内線で1年間飛ばしたとすると、それだけで1機あたり2億円のコストを削減できると想定しています。ボーイングだから、エアバスだからということではなく、飛行機そのものの性能を見て判断しました」と話します。
ちなみに同機へ搭載されるエンジンも、JALでは初の採用となるロールスロイス製のもの(トレントXWB)。その製造には三菱重工や川崎重工、IHIなどの日本企業が関わっているといいます。
JALはA350-900型機を18機、長胴型であるA350-1000型機を13機、あわせて31機のエアバスA350 XWBシリーズを確定発注済みです。
今回お披露目されたA350-900型機の初号機は「『挑戦』のレッド」の特別塗装を持ち、この後に納入される2号機は「『革新』のシルバー」、3号機は「『エコ』のグリーン」をテーマに、機体後部にそれらの色で「AIRBUS A350」と大きく書かれます。A350-900型機のデビューは、9月1日(日)の羽田発福岡行きJL317便の予定です。
※一部誤字を修正しました(6月21日10時20分)