JR肥薩線の矢岳駅に隣接する築110年の旧駅長宿舎が、リノベーションを経て古民家ホテル「星岳・月岳」としてオープン。自然豊かな場所に位置し、和室や縁側、ひのき風呂などを備えた懐かしい「大人の隠れ家」のような施設です。

文化財指定の駅施設を3000万円でリノベ

 2019年8月2日(金)、JR肥薩線の矢岳駅(熊本県人吉市)に隣接する旧矢岳駅長宿舎をリノベーションした古民家ホテル「星岳(ほしたけ)・月岳(つきたけ)」が開業します。これに先駆けて7月26日(金)、ホテルを運営するクラシックレールウェイホテルが報道機関向けに公開しました。

「元・駅長宿舎」がホテルに JR肥薩線の矢岳駅、築110年の...の画像はこちら >>

肥薩線の矢岳駅(2019年7月26日、皆越和也撮影)。

「星岳・月岳」は、2018年9月に隣の大畑(おこば)駅前に開業したフレンチレストラン「囲炉裏キュイジーヌ ループ(LOOP)」と連携したオーベルジュ(宿泊施設を備えたレストラン)です。

 肥薩線は1909(明治42)年、福岡と鹿児島を結ぶ鹿児島本線(当時)として開業。大畑駅や矢岳駅は当時の駅舎が残っており、現在は無人駅ですが、地元の人々により大事に扱われています。今回オープンする古民家ホテルは、矢岳駅開業当時に建てられた駅長宿舎と隣の建物を3000万円かけてリノベーションし、「星岳」(宿舎、102平方メートル)、「月岳」(66平方メートル)としました。宿舎は登録有形文化財に指定されており、外観は30%以上を変えられないとのことですが、内装は和モダンで快適に過ごせるよう仕上げてあります。

ディナーは隣の大畑駅へ

「星岳」の間取りは和室2部屋、寝室(ベッド2台)、ひのき風呂、キッチン(エントランス)、トイレで、最大4人まで宿泊が可能です。また縁側もあり、懐かしさを覚えます。周囲は矢岳の集落だけでお店がなく自然の豊かなロケーションで、12歳未満の子どもは宿泊できないこともあり、「大人の隠れ家」のような施設です。

「元・駅長宿舎」がホテルに JR肥薩線の矢岳駅、築110年の古民家を再生「8月は満室」

「月岳」(左)と「星岳」(2019年7月26日、皆越和也撮影)。

 オーベルジュであるため、午後に肥薩線の人吉駅でチェックインし、大畑の3段式スイッチバックとループ線を楽しみ矢岳駅に到着したらホテルへ。夕方の列車で大畑駅へ移動し「ループ」でフレンチのディナーを満喫し、ロンドンタクシーでホテルに戻り一泊。朝はホテルで食事を摂りチェックアウト。これがすべて込みで1泊2人8万円(税別)。ホテルは1日1組限定で、稼働は金~土曜、土~日曜、日~月曜(月曜が祝日・休日のとき)。8月の予約は既に満室とのことです。

 なお「ループ」では、まず水出し日本茶の利き茶を1時間ほど楽しみ、ゆったりとしたディナー(1万5000円相当)をいただきます。「ループ」の営業は現在、ランチ(11時30分~15時)とカフェ(14~17時)のみであるため、ディナーは「星岳・月岳」宿泊者だけの貸切となり、ぜいたくな時間を過ごせます。

 なお、クラシックレールウェイホテルでは、今後2025年までに九州7県すべてで拠点を開発し、九州をまるごと楽しめる鉄道一周ツアーの企画を目指しています。現在、第2弾の検討を熊本県内の他地域で進めているとのことです。

編集部おすすめ