JALが導入したエアバスA350-900型機は、コックピット窓の周辺が黒く、「タヌキ」のようにも見えます。もちろんこれには理由があり、ボーイング747型機「ジャンボジェット」などでも、同じ目的の塗装が見られました。

プロ野球選手と同様に

 JAL(日本航空)が2019年9月から運航しているエアバスA350-900型機は、コクピットの窓周辺が黒く塗られており、「タヌキ」のようにも見えます。

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エアバスA350-900型機の機首部分の黒ライン(2019年6月、乗りものニュース編集部撮影)。

 この黒塗りは、JALによると「プロ野球選手がデーゲームの際に目の下を黒く塗っているのと同じ理由で、まぶしさを軽減させるため」といいます。黒く塗ることで、そこで光が反射し、まぶしくなることを抑えているのです。

 上空では、太陽の日差しが、より強くなります。パイロットがよくサングラスを着けているのは、もちろんまぶしさを軽減するためです。

 機首に「まぶしさ」対策をしているエアバスA350-900型機。歴史をたどると、以前にも同様の工夫がされた飛行機がありました。

ジャンボにも存在 かつて多かった「目のクマ」塗装

 かつてコクピットの窓下に、「目のクマ」のような黒塗りをしている飛行機が多く見られました。

 たとえば日本製のターボプロップ機YS-11型機や、「ジャンボジェット」ことボーイング747クラシックなどは「目のクマ」塗装が見られた代表的な機種です。

エアバスA350型機の「タヌキ顔」何のため? 窓まわりを黒くする理由とは

JAL格納庫にあるDC-8型機の機首部分。コックピットの下に「クマ」がある(2019年6月、乗りものニュース編集部撮影)。

 JALではダグラス(現ボーイング)DC-8シリーズのほか、旧JAS(日本エアシステム。JALと合併)のDC-9-81型機などで、ANA(全日空)でも「トライスター」ことロッキードL1011型機などで「目のクマ」塗装が採用されていました。

 これは「アンチグレア」と呼ばれるもので、エアバスA350-900型機と同様に、まぶしさを軽減するものです。

 現在の日本の航空会社では、あまり馴染みのなくなったこの塗装。海外の航空会社では、中国国際航空のボーイング737-800型機などでアンチグレア塗装がみられます。

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