同じANAグループのLCC、ピーチと統合するバニラエアの運航が2019年10月26日をもって終了。拠点の成田空港への最終到着便を井上社長らが出迎えました。
成田空港を拠点にするLCC(格安航空会社)のバニラエア。その成田着最終便が2019年10月26日(土)18時すぎに同空港へ到着、同社の井上慎一社長やスタッフたちが出迎えました。
バニラエアは成田空港を拠点に国内9路線、国際10路線、あわせて19路線を運航していましたが、2018(平成30)年12月に、関西空港を拠点とする同じANAグループのLCC、ピーチとの統合を発表。バニラエアの路線は順次ピーチへ移管され(廃止された路線などもあり)、バニラエアによる運航は、この18時すぎに拠点の成田空港へ到着した台北からのJW106便、そしてこのあと20時15分に福岡空港へ到着予定の同じく台北発JW158便をもって終了です。
拠点空港「成田」へのバニラエア最終到着便を出迎える井上社長やCAたち(2019年10月26日、乗りものニュース編集部撮影)。
バニラエアは2011(平成23)年、ANA(全日空)とマレーシアのエアアジアが共同出資した「エアアジア・ジャパン」として運航を開始したのち、2013(平成25)年の両社提携解除によりANAのグループ会社「バニラエア」として再出発しました。提携解除は、2社の経営方針の違いが原因といわれています。またエアアジアはその後、同じ「エアアジア・ジャパン」の名で、別のLCCを中部空港拠点で設立しています。
なお今回、バニラエア成田着最終便に使用されたエアバスA320型機(機番:JA02VA)は、「黄色」をトレードカラーとしている同社で2機だけの、白ベースのボディと尾翼が特徴の「白バニラ」機。バニラエアの導入2号機でもあります。
目的は、いわば関東と関西の統合 そして「日本最大のLCC」にピーチへの統合について最も大きな理由を、ピーチの代表取締役CEOでもあるバニラエアの井上慎一社長は「首都圏に強いバニラエアと関西に強いピーチが統合すれば、アジアのリーディングLCCを目指せるから」と話します。

ピーチの代表取締役CEOでもあるバニラエアの井上慎一社長(2019年10月26日、乗りものニュース編集部撮影)。
ピーチの営業収入は600億円強で、年間旅客数はおよそ550万。そこに営業収入およそ330億円のバニラエアが統合されることで、ピーチと同規模の営業収入、年間旅客数を持つライバル、JAL(日本航空)系LCCのジェットスター・ジャパンを引き離し、“新生ピーチ”は営業収入、旅客数、路線数とも「日本最大のLCC」になる見込みです。
このANA系LCC2社は拠点が異なり路線の重複が少ないほか、バニラエアは「リゾート」をテーマに成田・関西~奄美大島線や、成田~セブ島(フィリピン)線を開設。対しピーチは「空飛ぶ電車」をテーマに、利用しやすい運賃で飛行機の敷居を下げるなど、性格も違います。
“新生ピーチ”代表取締役CEOが語る、「新生ピーチのミッション」とは?“新生ピーチ”のミッションは「新しい価値を創造すること」と、“新生ピーチ”の代表取締役CEOでもあるバニラエアの井上慎一社長は話します。
「ガイドブックに頼らず、SNSや友人の口コミをきっかけに旅行する方が増えているなど、新しい価値観が生まれています。また、住む場所の敷居も低くなりつつあり、週末移住や季節移住も流行する兆しがあります。そういった方が、気軽に飛行機を利用できるお手伝いができればと思います。高いパフォーマンスを発揮してきたバニラの社員と、ピーチの社員が、スクラムを組んでチャレンジしていきたいです」(バニラエア 井上慎一社長)

駆け付けたスタッフ約80人がサイリウムでお出迎え(2019年10月26日、乗りものニュース編集部撮影)。
“新生ピーチ”は今後、就航路線数50以上を目指し、路線を拡大していくとのこと(現在は国内線19路線、国際線17路線)。
また、ほかのアジア諸国のLCCが大多数を占める日本発着中距離国際線への参入も計画しており、現在使用しているエアバスA320型機より航続距離の長いエアバスA321LR型機を、2020年までに2機導入する予定です。