渋滞中の高速道路では、どの車線を選ぶとよいのでしょうか。NEXCOは、混雑する区間では追越車線を避け、走行車線を利用するよう呼び掛けています。
渋滞中の高速道路は、車線によって所要時間に差が生じるのでしょうか。
NEXCO東日本関東支社によると、「渋滞になってしまった場合、車線間で所要時間や速度に大きな差はありません」とのこと。むしろ、不要な車線変更は後続車がブレーキを踏むこととなり、渋滞の悪化要因や事故の原因にもなるので、控えてほしいといいます。
渋滞のイメージ(画像:photolibrary)。
ただし、「渋滞になる前」の混雑した状態では、意識して走行車線を走ったほうがよいかもしれません。
渋滞は追越車線側から始まる傾向があるため、NEXCO東日本では2019年11月から12月にかけての土休日に、「走行車線の利用促進による渋滞対策実験」を行っています。東北道上りの矢板IC~宇都宮IC間において、本線上へLED看板などを集中的に配置し、「渋滞予防のため」「左側車線のご利用を」といったメッセージを表示するというものです。
なぜ「左側車線の利用」うながすと渋滞対策になるのか?NEXCO東日本によると、渋滞は次のようなメカニズムで発生するといいます。
1:本線上が混雑すると、速く走りたい思いから多くのクルマが追越車線に移行。
2:結果的に追越車線で車列ができ、ブレーキが後続車へ伝播。
3:追越車線側から渋滞が始まり、走行車線にも車列ができて「渋滞」に至る。
先述の東北道における実験は、混雑区間で追越車線に移るのを抑えてもらい、車線利用をなるべく均一化させることで渋滞の発生を遅らせ、影響を緩和させることが目的です。過去に東北道の片側3車線区間で実施した際には、非実験日と比べ追越車線の利用率は6%減、最大の渋滞長さは12kmも短くなったというデータもあります。
「車線を増やすなどの道路改良と比べてお金や時間があまりかからず、ドライバーの行動変化により渋滞を緩和できる取り組みです。渋滞だけでなく事故対策にもなり、ひいては『あおり運転』の防止にもつながります」(NEXCO東日本関東支社)
なお、同様の実験は近年、区間を変えて随時行われており、今回は2018年度冬に続き、片側2車線区間での実施。前回の結果も含め、2車線区間における実験効果を現在検証しているそうです。