宮沢りえさん主演の『ぼくらの七日間戦争』に登場する61式戦車のレプリカ、「原作では登場しない」「『戦国自衛隊』のおさがり」などのエピソードがありますが、その後どうなったのでしょうか。探してみたところ、見つかりました。
2019年12月13日(金)より、アニメ映画『ぼくらの7日間戦争』が全国公開されました。実はこの作品、原作となる宗田 理さんが執筆した『ぼくらの七日間戦争』の30年後という設定で、原作と地続きの未来の話だそうです。
映画『ぼくらの七日間戦争』に登場した61式戦車のレプリカ。通称「角川61式」。砲塔を後背面に向けた状態。
『ぼくらの七日間戦争』といえば、1988(昭和63)年に公開され、宮沢りえさんの女優デビュー作として有名な実写映画があります。同作における宮沢りえさんの存在感については語りつくされた感がありますが、レプリカの陸上自衛隊61式戦車もかなりのインパクトを残しています。どのような経緯か劇中では語られないのでわかりませんが、なぜか倉庫で眠っており、宮沢りえさん演じる中山ひとみが「エレーナ」と命名。クライマックスシーンでは子供たちに落書きされた状態で花火の打ち上げ台となりました。これほど目立ちまくっている同車ですが、実は原作には一切登場しない、実写映画版のオリジナル要素です。
このレプリカの61式戦車についてですが、元々は映画『戦国自衛隊』(1979年〈昭和54〉年公開)用に作られたものでした。同作は角川春樹事務所の製作作品で、ファンのあいだでこのレプリカ戦車は「角川61式」とも呼ばれています。
撮影用の車両として以外にも、同車は『戦国自衛隊』宣伝キャンペーン用として全国で走りまわります。映画公開後は、ほかの撮影用小道具などと一緒にオークションへ出されましたが、購入者は現れませんでした。そして9年後、『ぼくらの七日間戦争』に登場します。

ドラマ『さとうきび畑の唄』ではアメリカ戦車役で登場。
その後はテレビ特番の『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!』(日本テレビ系)や、2003(平成15)年に放送された、明石家さんまさん主演のドラマ『さとうきび畑の唄』(TBS系)にアメリカ軍戦車役として登場。2012(平成24)年にはソフトウェア開発を手掛けるサイボウズ社の、プロモーション活動の一環として青色のラッピングステッカーを貼られて、六本木ヒルズに姿を現しました。
表舞台にたびたび姿を現す同車ですが、気になるのが現在の所有者です。角川春樹事務所はすでに手放したという噂を聞いていたので、いったい誰が所有しているのか謎でした。しかし探しているうちに、とある筋から国内某社が所有しているという噂を聞きました。
「撮影所の方から引き取って欲しいと相談されて…」業界向けの会社ということで、社名を出さないという約束で61式戦車のレプリカについて確認をとったところ、担当者から「確かに、現在は弊社が所有しています」という答えが。「当時、角川の撮影所近くに会社がありまして、撮影所の方から『引き取ってくれないか?』という相談がありました」とのこと。このまま撮影所の倉庫で放置していても、壊れるなどしてしまうので、環境が整っている場所にという判断だったようです。

映画『戦国自衛隊』では、武田信玄の軍勢と激突。
ちなみに、『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!』『さとうきび畑の唄』やサイボウズ社への貸し出しは、同社から行ったとのことです。2019年12月現在は、同社倉庫の奥のほうで保管されており、近々の稼働予定はなさそうな感じでした。が、しかし……、もしかしたらアニメ映画の宣伝のために再登場もあるかもしれませんね。