寒い日は特に、クルマのエンジンがかかりづらい場合があります。バッテリーの働きが寒さで弱まるのも一因ですが、考えられる原因はバッテリー以外にも存在。

救援を呼ぶ前に試すべき対策もあります。

エンジンがかからない原因はバッテリー以外にも

 寒い日は特に、クルマのエンジンがかかりづらい場合があります。ひとつの要因として考えられるのは、バッテリーの放電が弱っていること。2018年度の年末年始期間中、JAF(日本自動車連盟)に寄せられた救援依頼のうち、およそ39%がバッテリー上がり(過放電バッテリー)によるものでした。

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冬はエンジンがかかりづらいことがある。写真はイメージ(画像:kritchanut/123RF)。

 とはいえ、バッテリー以外にもエンジンがかかりづらい要因は複数あり、なかには救援を呼ばずとも解決できるケースもあります。ある自動車整備工場の代表は次のように話します。

「キーをさしてセルモーター(スターター)が通常のスピードで回るにも関わらず、エンジンがかからない場合は、燃料の『プラグかぶり』が疑われます」(自動車整備工場代表)

 燃料の「プラグかぶり」とは、エンジンの始動時に燃焼室へ送られてきた混合気(霧状の燃料に空気が混ざったもの)が燃焼しきれず、スパークプラグを濡らしてしまう現象のこと。スパークプラグは混合気に火花を散らし、火種を作る働きをしますが、濡れてしまうと火花を散らしにくくなり、エンジンがかかりづらくなるのです。

 この現象が起こりやすいのは特に冬、いったん始動したエンジンをすぐに切り、再びかけようとする場面などが挙げられます。寒い日には、始動性をよくするため燃料が濃いめに燃焼室へ送られますが、ここですぐにエンジンを切ってしまうと、燃料が燃焼しきれずプラグを濡らしてしまい、再始動の際にエンジンがかからなくなる、というわけです。

救援を呼ぶ前に試すべき対策は

 燃料の「プラグかぶり」が原因の場合、前出の自動車整備工場の代表によると、セルを回しつつアクセルペダルを踏むと、エンジンに空気が送り込まれ、火花が散ってエンジンがかかることもあるといいます。

 それでもかからない場合、セルを長く回し続けるのは、バッテリーの放電が進む一方で、モーターにも悪影響を与えます。自動車整備工場の代表によると「5分ほど待ってから、もういちどセルを回すと、エンジンがかかることがありますよ。これでかからなければ、もう少し待って再トライしてみてもよいでしょう」とのこと。そのあいだにスパークプラグが乾き、火花がしっかり散るようになっていれば、エンジンがかかるというわけです。

 一方、セルを回しても「カチッ」と音がするだけだったり、「キュル、キュル、キュル……」と回転が遅い場合は、バッテリーが原因である可能性が高いといいます。そうした場合は、ほかのクルマのバッテリーなどと自車のバッテリーをつないで、いわゆる「ジャンプスタート」を試す、あるいは救援を呼ぶことも考えたほうがよいでしょう。

 このほか、セルの故障やスパークプラグの劣化、単純に燃料が少ない、あるいはポンプの不調によりエンジンに燃料が送り込まれないケースなど、エンジンがかからない原因は複数考えられるそうです。

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