JALが新展開する国際線中長距離LCCのジップエアが機内の様子を披露しました。フルフラット可能な上位クラスと、LCCとしては前後間隔が広い普通席を配している一方、LCCらしさや日本らしさも備わっています。

LCCなのに前後間隔はフルサービスキャリアレベル

 JAL(日本航空)が新たに展開していく国際線の中長距離LCC(格安航空会社)である「ジップエア(ZIPAIR Tokyo)」。2020年5月の運航開始を前に、その機内の内装や座席仕様が2019年12月18日(水)、成田空港内のJAL格納庫で報道陣に公開されました。

 機内が公開されたのは、ジップエアの初号機にあたるボーイング787-8型機。もともとJALで2012(平成24)年から使われていたものです。

JALグループ新国際線LCC「ジップエア」機内初公開 LCC...の画像はこちら >>

ジップエアのボーイング787-8型機(2019年12月18日、乗りものニュース編集部撮影)。

 座席数は290席で2クラス制、上位クラスの「ジップ フルフラット(ZIP FULL-flat)」が横1-2-1列で18席、普通席のスタンダードシートが、横3-3-3列で272席を配します。全席にUSBポートと電源コンセントが設置されています。

「ジップ フルフラット」の前後間隔は107cm、座席幅は51cmです。180度のリクライニング機能を採用し、横になることが可能です。中央2列のあいだには、可動式の仕切り板も設置されています。

 スタンダードシートの前後間隔は、JALやANA(全日空)など多くの「フルサービスキャリア」とほぼ同様の79cmで、座席幅は43cmです。背もたれを倒すと座面も少し前方にスライドするため、もし前席の人が座席を倒しても圧迫感を感じづらくなっています。

タブレットホルダーも設置され、設置の見込みが高いという機内Wi-Fiと組み合わせて使用できるようデザインされているそうです。

 一方で、ところどころにLCCらしさもあります。また「和製国際線LCC」ならではの工夫も見られました。

ジップエア流の「LCCらしさ」とは?

 日本の航空会社の国際線機材では一般的になりつつある機内モニターですが、ジップエアは座席だけではなく、客室の共用部にいたるまで、ほぼすべて取り払われています。またスタンダードシートの素材は、合成皮革を採用しているそうです。

 これらの仕様は、飛行機の重量をより軽くするためとのこと。ジップエアによると、一般的なボーイング787型機より、座席数を増やしながらも約500kgの重量削減に成功したといいます。

 また、共用部分には「和製国際線LCC」ならではの工夫も見られます。機内に7か所設置されている化粧室のうち3か所に、温水洗浄便座「ウォシュレット」を導入。ジップエアは「世界のLCCでも初なのではないか」としています。さらに、一部化粧室は壁が動かせるようになっており、多目的トイレとしても使用できる仕様です。

JALグループ新国際線LCC「ジップエア」機内初公開 LCCでもフルフラット席あり B787-8

ジップエアの普通席、スタンダードシート(2019年12月18日、乗りものニュース編集部撮影)。

「客室のコンセプトは、長いフライトでも安心で快適に過ごせることです。デザイナーと私たちの努力の結晶で、自信を持って提供できるものとなりました。機内に入ると黒で統一され上質感があり、引き締まった印象だと思います。座席のバックの色はライトグレーにし、落ち着いたイメージに仕上がっています」(ジップエア 西田真吾社長)

 ジップエアは、2020年5月14日に成田~バンコク(スワンナプーム)線でデビューし、ついで同年7月1日に成田~ソウル(仁川)線を開設する予定です。北米路線も視野に入れ、順次新たな路線の開設を目指すとしています。

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