夜行バスの車内で、うまく眠るコツのようなものはあるのでしょうか。安眠を促し、体の負担を軽くするために便利なグッズもあります。
夜行バスでなかなか眠れない、という人もいるかもしれません。うまく眠るコツのようなものはあるのでしょうか。全国で「ねむりの相談所」を展開する寝具メーカーの西川株式会社(東京都中央区)に聞きました。
多くの夜行バスが発着する夜の「バスタ新宿」(2018年2月、中島洋平撮影)。
――夜行バスで眠るために、まず全般的にどのようなことが言えますでしょうか?
車内でふだんと同じレベルの睡眠をとることは難しいので、なるべくリラックスできることが大切です。締め付けが少ない服装で乗車するのがよいでしょう。また、特に深夜は深部体温(体の内部の温度)が最も低下します。「寒い」と感じるのは眠りの質を低下させますので、体温調節のためブランケットを使用するのもよいでしょう。
――座席のリクライニング角度はどうすべきでしょうか? またレッグレスト付きの場合、使ったほうがよいでしょうか?
リクライニングはなるべく水平に近くするのが理想的ですが、夜行バスだとフルに倒せないことがあるかもしれません。背もたれに体重を預けてリラックスできる程度に倒してください。また腰や首の後ろにできる隙間を、丸めたタオルなどで埋めると、体の負担をやわらげ、起きたときの痛みを軽減できる場合もあります。レッグレストは、体勢に無理がなければ使用するのがよいでしょう。
――姿勢は仰向けと横向き、どちらがよいでしょうか?
寝やすい姿勢がいちばんです。ただ、自分のいびきが気になる方は、仰向けと比べて気道を確保しやすい横向き寝がおすすめです。
夜行バスで眠るための便利グッズ 選ぶポイントは?――ネックピロー(首まくら)やアイマスクを使う人もいますが、どのような効果があるのでしょうか?
ネックピローは、眠っているあいだに首が傾くことによる痛みを防げます。選ぶポイントとしては、ボリューム(ふくらみ)を手動で調整でき、携帯性に優れ、洗濯も可能なものがよいでしょう。
またアイマスクも効果的です。光は、まぶたを通してでも目に入ってきてしまいますので、アイマスクによって「夜の環境」を作ることは有効です。こちらも締め付けが少ないものを選ぶとよいでしょう。
強い光を浴びると、眠りを促すメラトニンというホルモンの分泌を阻害してしまいます。したがって、車内でスマートフォンを使うことも眠りを妨げますし、途中のトイレ休憩で車外へ出るような場合も、売店などの明るい光を極力浴びないことが大切です。

通路側に仕切りカーテンが設けられている場合でも、スマートフォンなどの光が漏れることがある(2019年3月、伊藤真悟撮影)。
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高速バスに1100回以上乗車しているライターの須田浩司さんは、夜行バスの乗車時にネックピローは必ず持参するそうです。このほか、空気で膨らむ腰当てや、携帯用のスリッパ、そして小さめのブランケットもあったほうがよいといいます。
ちなみに、眠るため乗車前にお酒を飲む、という人もいるかもしれませんが、西川によると、アルコールは睡眠の質を低下させるため、基本的におすすめできないとのこと。また、ライターの須田さんは「疲れすぎた状態で乗車するのも、逆に眠れなくなります。乗車前日はできるだけ睡眠をとったほうがよいでしょう」と話します。