手洗い洗車の設備が整った街のコイン洗車場が数を減らしていると見られます。自宅に洗車環境がない都市部のオーナーや、自動洗車機を避けたいという人を中心にニーズはあるものの、新規の設置は一筋縄ではいかないようです。
街のコイン洗車場が数を減らしているといわれます。広い区画に仕切られた洗車ブースがあり、コイン式の大きな高圧洗浄機などが置かれた、おもにクルマを手洗いする人のための施設です。WEB上に散見されるコイン洗車場の情報を眺めると、新規出店はあるものの、あちこちで閉鎖の文字が目立っています。
とはいえ、そのニーズは決して小さくはないようです。カー用品店「オートバックス」を展開するオートバックスセブンは、2018年11月に東京都江東区の旗艦店をリニューアルし、「A PIT(ア・ピット) AUTOBACS SHINONOME」としてオープンした際、敷地内にコイン洗車場を新設しました。「周辺のお客様から洗車スペースが欲しいというご要望が、かなり以前からありました」といいます。
「A PIT AUTOBACS SHINONOME」のコイン洗車場(2018年11月、中島洋平撮影)。
「集合住宅が中心の都市部では、洗車スペースが自宅にないという方が多いです。ガソリンスタンドなどにある自動洗車機のほうが手軽で、その性能が良くなってきていることも、多くの方が認識しているでしょう。それでも洗車機は『傷がつく』というイメージもありますし、なにより自分でていねいに洗いたいという、洗車への愛着をお持ちの方が多くおられます」(オートバックスセブン)
店としては洗車用品の売上にもつながるばかりか、来店の促進にもなり、カー用品店とコイン洗車の親和性は高いとのこと。実際、稼働率も「非常に高い」そうです。
コイン洗車場は効率のよい商売ではない?しかし、仮にコイン洗車場を単独で運営するとすれば、ビジネスとして効率のよいものではないと、オートバックスセブンは話します。
「広いスペースを必要とするうえ、洗車後の拭き上げにも比較的長い時間がかかるので、次々にお客様が入れ替わるというわけでもありません。また水の使用料や、排水の処理も十分に考える必要があります」(オートバックスセブン)
排水は「汚水」にあたるため、新規にサービスを広げるにあたっても、この処理方法について規制があり、自治体などへの申請も煩雑になるのだそうです。