ラストフライトを迎えたANAのB737-500「スーパードルフィン」、その使用機材は、400機近い737-500のなかでも特別な意味を持つ機体でした。納入の際のエピソードをANAウイングスの機長が語ります。

短胴&イルカのイラストが特徴の「スーパードルフィン」

 ANA(全日空)グループのANAウイングスが保有するボーイング737-500型機「スーパードルフィン」が、2020年6月14日(日)の福岡発羽田行きのNH254便で、ラストフライトを迎えます。

 ANAウイングスのボーイング737-500型機は、ANK(エアーニッポン、現ANA)で1995(平成7)年から導入されたもので、以降25年間、地方路線で活躍しました。その短い胴体がイルカに似ていることなどから、「スーパードルフィン」の愛称を持ち、エンジンカウルにイルカのイラストがあしらわれています。

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ANAウイングスのボーイング737-500型機「スーパードルフィン」(2019年、乗りものニュース編集部撮影)。

 ボーイング737-500型機は、1984(昭和59)年から1999(平成11)年までに生産された737シリーズの第2世代にあたり、標準型の737-300、長胴型の737-400、そして短胴型の737-500と、3種類がラインナップされています。

 これらのなかで737-500型機は、製造機数は最も少ないものの、それでも世界中の航空会社に向け、400機近くが生産されています。さらにANK、そしてANAの「スーパードルフィン」には、この400機のなかでも特別な経歴を持つものがありました。

737-500全体のなかでも特別な「スーパードルフィン」の意味

 実はANKの「スーパードルフィン」のうち最後に納入された4機は、ボーイング737-500全体でも最後に生産された機体にあたります。2019年に福岡市で行われた「スーパードルフィン退役イベント」にて、ANAウイングスの機長は、その際の経緯を次のように話しました。

400機近く生産のB737-500のなかでも特別なANA「スーパードルフィン」ラストフライトへ

ANAのボーイング737-800型機。いわゆる「ネクストジェネレーション」にあたる(2019年、乗りものニュース編集部撮影)。

「1999年に最後の4機を導入しようとしていた際、実はボーイングとしては-500型機の製造を止め、1998年にデビューした、737シリーズの第3世代『ネクストジェネレーション』に生産を切り替えたがっていました。

『ネクストジェネレーション』の価格を下げるので、そちらにするようボーイングから打診されていたそうなのですが、ANKがそれを断って-500型機を無理に作ってもらったものなのです」(ANAウイングス 機長)

 ちなみに、6月14日にラストフライトを行う「スーパードルフィン」JA306Kは、この1999(平成11)年にANKへ納入された4機のうちの1機にあたります。

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