ラベルや化粧箱に建設機械のシルエットがズラリ並んだ、「建機盛」という日本酒があります。なぜこのようなお酒が誕生したのでしょうか。

一般販売はされておらず、ちょっと特殊な用途にも用いられています。

オリジナル品の「建機盛」が誕生した経緯

「建機盛」という、名前からして、乗りもの好き、建設機械好きにはたまらないであろう日本酒があります。

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一升瓶の建機盛。右は化粧箱(光雄工機撮影)。

 酒蔵は、広島県東広島市にある山陽鶴酒造です。同社の本永取締役に、色々聞いてみました。

 建機盛は1990年代中盤から2000年代前半に、同社が営業の一環として「オリジナルラベルで日本酒を作ります」と各方面に売り込んでいたなか、広島県内のキャタピラー三菱(当時)の販売会社から、注文を受けたのが、誕生のきっかけとのことでした。

 いまでも、トラックや建設機械などでは納車引き渡しの際、安全祈願のために神事の一環として、御神酒(おみき)を車体やタイヤなどにかけることがあります。そのときに用いられるオリジナルの日本酒として「建機盛」は誕生したそうです。

 そののち評判が評判を呼び、日本キャタピラーの関係会社が製品を引き渡す際などに利用するようになり、現在に至るまで、毎年まとまった数が出荷されているそうです。

ラベルもパッケージも建機が満載

 瓶のラベルや化粧箱などは、キャタピラー三菱(当時)の独自デザインだそうで、当時の同社が自社製品の写真を用意し、外部のデザイン会社に依頼する形で生まれたとのことでした。

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建機盛の化粧箱のアップ(光雄工機撮影)。

 このような経緯で生まれた「建機盛」、一般販売はしていません。当然ながら、積極的にPRする商品ではないため、知る人ぞ知るレアな銘柄になったようです。

 最後に、「建機盛」をつくっている山陽鶴酒造に建設機械が好きな社員はいるのかと聞いたところ、本永さん自身がファンとのこと。動画サイトで建機の動く姿を眺めるのが好きなほか、建機のラジコンを子どもにプレゼントするほどだそうで、「建機盛」を作っていることに誇りを持っているということでした。

 なお、お酒を飲んで自動車や建設機械などに乗ることは、たとえ私有地であっても控えましょう。

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