企業倒産のうち、破産の構成比が90.3%に達し、過去最大を記録した。民事再生法はわずか2.2%にとどまる。
東京商工リサーチ(TSR)は、1952年に国内で初めて倒産集計を開始した。集計対象のうち倒産法は時代とともに変化してきたが、現在は会社更生法・民事再生法の再建型、清算型の破産・特別清算に大別される。また、取引停止処分などの私的倒産も集計対象だ。倒産となった全国すべての企業へ取材して、統一のフォーマットに沿って倒産データとして社内のデータベースに登録する。倒産取材の端緒は、関係先からの情報提供や通知書、官報など様々だ。
全国の調査員が足で調べたデータは、毎月「倒産月報」にまとめ、マスコミや官公庁、日本銀行などの資料でも扱われている。
形態別 倒産比率の推移
2025年上半期(1-6月)の倒産で、破産の構成比が90.3%に達した。過去を振り返ると、2004年上半期までは取引停止処分の構成比が破産を上回っていた。30年前の1996年上半期の倒産7,270件のうち、取引停止処分は6,277件と86.3%で、破産は692件と9.5%に過ぎなかった。
当時を知る調査員によると、「破産はレアケースだった」という。
その後、少額破産の手続きコスト低減への取り組みが広がったことや、手形に拠らない商取引慣行の浸透などから、2005年上半期に破産の構成比が取引停止処分を抜いた。その後も破産の構成比は上昇し、2015年上半期に8割、2023年上半期には9割を超えた。
なお、2000年に施行された民事再生法はリーマン・ショック後の2009年上半期の構成比が5.6%に上昇したが、その後は利用が減少し、2025年上半期は2.2%にとどまった。
紙の手形は2026年度に廃止される予定だ。そのため、取引停止処分による倒産は今後も小康状態が続く。また、中小企業活性化協議会が関与する債務整理スキームや事業再生ガイドラインの運用開始など、低収益や過剰債務に苦しむ企業を準則型私的整理などで支援する仕組みは近年、急速に整備されている。 このため、法的手続きを検討する場合は、すでに事業性を失っており、破産以外の選択肢がなくなっているケースが多い。こうした背景が破産の構成比を押し上げている。
(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2025年7月22日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)