2025年(1-7月)「建設資材販売業」の倒産調査


 木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。


 負債額では10億円以上は3件にとどまり、1億円未満が70件(構成比75.2%)と、小・零細企業が多いのが特徴だ。

 都市部での再開発や、防災・減災需要などで建設業は活況が続いている。上場ゼネコン53社の2025年3月期の受注高合計は15兆5,558億円(前年同期比6.8%)で、リーマン・ショック以降で最高を記録した。また、資材費や人件費の高騰を織り込んだ価格設定で利益率も改善している。 
 コロナ禍を経て増勢が続いてきた建設業の倒産だが、2025年1-7月は1,151件(前年同期比0.8%増)と前年並みで増加ペースは鈍化している。
 しかし、一方で建設需要の影響を受ける木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、小・零細規模を中心に増加が止まらない。エネルギー価格や物流費などのコスト増を価格転嫁できず、しわ寄せを受けるケースが多い。さらに、「建設資材は相場変動にも左右され、高騰時の高値掴みが原因で採算がとれない流通業者も多い」(大手鉄鋼商社)。経営体力の乏しい小規模企業ほど、こうした変化への対応が難しく、息切れを招く構図に嵌っている。

 今後、販売価格と金利上昇で1次取得者向け戸建てやマンション需要は低迷が見込まれ、好調を維持してきた建設需要もまだら模様になりつつある。取引先や扱い品により、建材販売業の業績は二極化が加速する可能性があり、引き続き小零細企業を中心に倒産の増勢が懸念される。

2年連続増加、年間150件超えのペース

 建材販売業の倒産は、2025年1-7月は93件(前年同期比24.0%増)に達した。

2016年からの10年間では、2020年の90件以来、5年ぶりの90件超えで、コロナ関連支援で倒産が抑制された2021-2023年を大幅に上回った。このペースで進むと、2025年は年間150件を上回り、過去10年で最多の2016年の180件を抜く可能性も出てきた。
 負債額のレンジ別では「負債1千万円以上5千万円未満」が最多の48件(前年同期比118.1%増、構成比51.6%)で5割を占めた。前年同期から約2.2倍増で、小規模倒産の増加が全体の件数を押し上げた。

※ 本調査は、 2025年(1-7月、負債1,000万円以上)の倒産から、日本産業分類の「建築材料,鉱物・金属材料等卸売業」を抽出し、分析した。

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